2020年までに、温室効果ガスの排出量を1990年比、25%削減することや、2012年からの国内排出量取引制度の実施、そして地球温暖化対策税の創設などを明記した「地球温暖化対策基本法案」が、5月14日に衆議院環境委員会で可決されました。
「地球温暖化防止は人類共通の課題」と崇高な目的を謳うこの法案ですが、お決まりの殺伐とした審議風景の中で採決される光景は、何とも言いがたい“ギャップ”を感じました。強行採決の光景のみならず、この法案自体にも“ギャップ”を垣間見ることができます。
それは、多くの国民が、賛否を問わず環境問題に対して何らかの関心を持ちながら(理想)、政府の環境政策がなかなか腹に落ちていかない(現実)というものです。その理由は、『理想と現実のギャップ』にあるのではないか、と私は考えます。
ギャップが偏在。
法案の険しい道のり
地球温暖化対策法案は、
「地球温暖化を防止することが人類共通の課題」
「国際協調の下、これらの課題に取り組むことが重要」
というような、地球規模での対応がまず謳われています。そのために、
「国内排出量取引制度や温暖化対策税などの施策を講じつつ、新たな産業の創出及び就業機会の拡大による経済成長を図る」
としており、最後に、
「地球環境保全並びに現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする」
と結ばれています。
要約すれば、
「日本が温室効果ガスの削減をすれば、国内経済の発展に伴い、国民の健康で文化的な生活が確保され、ひいては地球温暖化防止という人類共通の課題に貢献ができる」
ということです。