ベン・バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長の回想録『行動する勇気』。米国内でも賛否両論ある、金融危機勃発以降の「行動する勇気」でもって大胆な金融緩和策を実行し続けた”武勇伝”がまとめられている

佐藤 2008年のリーマンショック後、アメリカ経済は一時大きく落ち込みましたが、現在は成長しつづけています。一方、日本経済は全体的に停滞したままです。

モス 当時のベン・バーナンキFRB議長は、バブル崩壊後の日本の金融政策から多くを学んだと思います。バーナンキ議長は、「日本政府による市場介入は、場当たり的で、スピードが遅すぎた」と考えたのです。危機的な状況がおこったら、すぐに行動する、すぐに決断する、というのが必須だ、ということを日本の事例が教えてくれたのです。

 安倍政権の金融政策については、政府による大胆な金融政策が今でも有効に働くかどうかを見守っていきたいと思います。1990年代の間違った金融政策が、長きにわたる経済停滞を招いてしまいました。安倍政権は負の遺産の中で、難しい舵取りを迫られています。大胆な金融政策は遅すぎたかもしれません。しかし、私は「それでもやってみる価値は十分にある」と思っています。

なぜビジネスリーダーは
歴史を学ぶべきなのか

佐藤 ハーバード大学でMBAプログラムの学生と学部生向けに、新たに歴史の授業を開講した、と伺いました。なぜ今、ビジネスリーダーは歴史から学ぶことが大切だと思いますか。

モス まず1つめは過去の出来事を知れば、自分たちが生きている時代を違った視点から見ることができるということです。人間も社会も、過去の積み重ねがあって、今があります。つまり現代を理解する上で、その成り立ちを知ることは重要なのです。