それに対し、真実はこう答えた。
「私たちの身の周りに起きている『これまでとは違うこと』を、注意深く見つけていく──ということですね」
「『変化』って、具体的にどういうものを指すんだろう?」
「それは、いろいろあります。ドラッカーは、それを七つのパターンに分けています」
「あ、これね!」と夢が声を上げた。「この後に、『七つの機会』って書いてある」
「そう! ドラッカーは、注目すべき変化を七つの項目に分けて、それぞれの表れ方や特徴、またそれを利用したイノベーションの実例などを、この本の中で事細かく説明してくれています」
「なるほど。この章にはそんなことが書いてあったんだ……」
と公平は感心して頷いた。
それを受けて、真実が言った。
「だから、これを参考にすれば、ドラッカーのいう『変化』とは何か──というのが見えてくると思うんです」
「じゃあ、私たちが初めにすることも、これを参考に、私たちの身の周りの『変化』を見つけていく──っていうことね」
そう言ったのは洋子だった。
それに対し、真実はにっこり微笑むとこう言った。
「そう! だから、今からそれをみんなで探していきましょう!」
「その『七つの機会』って、どういうのがあるんですか?──」と、今度は五月が手を挙げて発言した。「ごめんなさい。私、まだその本読んでなくて」
「いいのよ──」と真実が言った。「七つの機会には、次のようなものがあるわ」
そうして真実は、それを黒板に書き出していった。
第一 予期せぬことの生起
第二 ギャップの存在
第三 ニーズの存在
第四 産業構造の変化
第五 人口構造の変化
第六 認識の変化
第七 新しい知識の出現
それを見て、公平が言った。
「じゃあ、どれからやっていくのがいいのかな?」
すると、真実が答えて言った。
「ドラッカーは、こういっています──」
ただし、これら七つの機会の順番には意味がある。信頼性と確実性の大きい順に並べてある。(一三頁)
「──つまり、この七つでいうと、第一の機会が一番『信頼性と確実性』が大きいというわけです。だから、ここでもまずは『予期せぬことの生起』から考えていきましょう」(つづく)
(第7回は12月19日公開予定です)