11月7日、都内の日本財団で開かれた「全国ひきこもり当事者交流会」(前回の連載で紹介)では、そんなAさんが百数十人の参加者を前に堂々と講師として話し、最後の全体共有の時間でも自ら手を挙げてマイクを握った。

「自分的には変わった感じがしない。本来の自分に戻ったという感じですね」

 やっと話す相手ができて、昔の自分に戻ることができたのだという。

「くすぶっていた時間が15年くらいあるので、そういったことを誰かに言いたいという思いがあるのです」

「高年齢の引きこもりは自分だけじゃない」
“一緒にやっていける空気”が決め手に

 同じ茨城県に住むBさん(34歳)が庵のことを知ったのは、去年の7月。ネットで「引きこもり」「稼ぎ方」などを検索していて引っかかった。

<履歴書に空白があっても仕事ができる>

 そんな記事が目に飛び込んできて、自分のことだと思った。

 小学校の頃から不登校。大学には入学したものの、卒業後、面接が怖くて就職活動ができなかった。

 以来、外に出る用事がなくなり、近所の目も気になって、ずっと引きこもり状態だった。

「こんなに高年齢の引きこもりの人たちもいるんだ。自分だけではないのか…」

 庵のディレクターの川初真吾さんに話を聞かなければいけないと思った。

 その外見も、これまで見てきた福祉や精神医療関係の支援者とは違い、「外の世界の人っぽいスタイル」に見える。いままでとは違って新しい空気を感じた。

「元々、人と比較する家庭環境ではなかったし、学校にも行く必要を感じていませんでした。最初の庵で自分の主張を笑われずに真剣に受け止めてくれたおかげで、あまり恥ずかしさを感じることもなかったのかもしれません」

 それでも、庵に初めて参加したのは、翌年の2月。5ヵ月間、行こうかどうかずっと悩んでいた。