毎年、開催される「オールトヨタTQM大会」も、1997年(平成9年)よりトヨタ自動車主体からグループ共催へと転換された。2000年代以降は、一層のグローバル化の進展の中でグローバルQCサークルへと取り組みが広がるなかで、品質問題を契機として「原点に立ち返ったTQMの実践」に力を入れているという流れである。

 つまり、トヨタとしての50年にわたるグループTQMに関する最大の啓発行事として開催されたのが、この大会である。主催のトヨタグループTQM連絡会は、「参加者にTQMについての理解を深め(=伝承)、明日からの業務に活かして(=変革)いただきたい」とする。

トヨタグループの英知が凝縮された
「リーダーズ座談会」での質疑応答

豊田章男・トヨタ自動車社長と河合満・同社専務役員 Photo:Mitsufumi Ikeda

「第50回記念オールトヨタTQM大会」の締めくくりは、豊田章男・トヨタ自動車社長ならびにグループ、取引先企業トップによる「リーダーズ座談会」だった。そのメンバーは、北島義貴・トヨタカローラ徳島会長、玉村和己・日本発条社長、大西朗・豊田自動織機社長、加留部淳・豊田通商社長、有馬浩二・デンソー社長、三井正則・ダイハツ工業社長、河合満・トヨタ自動車専務役員であり、彼らが豊田章男社長とともに登壇した。

 ちなみに、ダイハツ工業、豊田自動織機、豊田通商はグループ会社であり、デンソーも今回の大会の主催幹事会社、河合トヨタ自動車専務は工場現場からの叩き上げの役員だ。これに加えて、販社から地場店代表としてカローラ徳島のトップ、取引先サプライヤー代表としてニッパツのトップ、という顔触れだった。

 座談会では、豊田章男社長が司会も兼ねる形で参加者からの質問に答えた。その回答には、トヨタ関係者が長い歴史のなかで培ってきた英知が凝縮されていた。参考までに質疑応答の内容をお伝えしよう。

 まず「リーダーとしての心構えは?」という問いに対しては、「社長が変わらなければ会社は進化しない。『師厳道尊』すなわち志が高ければ高いほどリーダーが厳しくが信条」と三井ダイハツ社長が答えた。

 また、「ぶれない軸を持つこと。学生時代、ラグビーをやっていたが、練習量が多いチームが勝利する。先のワールドカップの日本代表が好例だ」と、北島カローラ徳島会長。「トップの役割は、決めることと責任を持つこと。普段からどれだけ決断できるかが重要。また手柄は部下のものとし、いいことは皆のお蔭、悪いことはリーダーの責任とする」と答えたのは、豊田章男社長だ。

 次に「グローバル化で大事なことは?」との問いに対しては、「張さんの講演にもあったが、人間性の尊重。ユーモアをもって心を開くことが大事」と、大西豊田自動織機社長が答えた。「価値観やナショナリティがある中でいかに現地に溶け込めるか、会社全体の活動として取り組んでいる。品質も共通の問題として」と加留部豊田通商社長。