早期退職者が
減らない理由
「新卒採用のあり方」は、早期退職者の増減と密接に関わっているはずです。そしてどこの企業でも、早期退職者の存在には頭を悩ましています。
早期退職者は昔から存在しており、その比率は大きくは変わっていないという論を唱える方もいますが、昨今のさまざまに工夫をこらした新入社員導入研修、職場でのOJT支援の中であっても、全体的な早期退職者が激減しないのは、やはり何か大きな課題が残っているからなのだと思います。
その課題とはいったい何なのか。
以前も少し書きましたが、それは「トランジション(過渡期)」に関する課題です。
大学4年生と社会人1年生の間には、大きな断層があります。小学校、中学校、高校、大学と、比較的連続的な変化の中で過ごしてきたのに対して、非連続的な変化がそこにはあります。そしてその変化は、以前にもまして劇的に大きくなっています。
企業側は、このことを明確に認識していますので、さまざまな手を打っています。
トヨタ自動車が新入社員研修期間を1年間に拡大したそうですが、同様に新入社員研修の強化を図る企業は少なくありません。また、OJTの仕組みやメンター的な取り組みを強めている企業も多くみられます。
内定時期の教育に力を入れる企業も、ますます増えています。
このような努力にもかかわらず、早期退職者は減りません。
それは、大学生から社会人へという「移行」のプロセスがうまくいっていないことを意味します。
大学生から社会人になるというのは、ほとんどの人にとって、これまでの人生における最大のトランジションであり、つまづきやすいポイントなのです。
就職活動、そして新卒社員の導入教育を、大学生(もっといえば小学校から大学までの16年にわたる生徒・学生期間)から社会人への「移行」の問題と捉えないと、この問題は前進しません。