日本の抱える問題の数々は
地方の「住」から解消できる?

「地方創生と住宅ストックの有効活用」と題する石破氏の基調講演では、冒頭で高齢化・人口減少・東京一極集中・地方と大都市の格差など日本の抱える問題について、もはや常識化していることを豊富なデータとともに再確認したあと、「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」「地方への新しいひとの流れをつくる」「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」の3点から、施策の可能性と結果の見通しを語った。

 石破氏は、日本を「住宅が耐久消費財になっている唯一の国」という。30年から40年をかけてローンを払い終わったときには、家の価値がゼロになっているのが日本の常識だ。しかしヨーロッパでは、住まいは100年・200年の耐久性を持つのが当たり前なのである。このカルチャーを変えていくことで、住まいは「まだまだ伸びる余地がある」というのが石破氏の考えだ。

 そのためには資源が必要だ。石破氏は「日本は、生産性が世界より低い部門が多いので、生産性を伸ばして稼ぐ必要がある」といい、「それができるのは地方」という。確かに、大都市に比べて「伸びしろ」が大きいのは地方であろう。しかし、そのためには地方の人口減少と人材不足を解決する必要がある。石破氏は、

「50代、60代で故郷に帰って幸せになることを推進したいです。サラリーマンの人生は、運次第です。部長になれなかった、課長になれなかった、という方もたくさんいます」

 と言い、企業でいろいろな職務を経験し、スキルを持っている人々が50代で生まれ故郷に帰ることを支援したいという。問題は、「仕事はあるのか?」「せっかく東京近郊で手に入れてローンを払い終わったマイホームに住んでくれる人はいるのか?」「妻は一緒に帰ってくれるのか?」といったところだ。石破氏は、

「関東以外の出身の男性は、50%が『将来は故郷で暮らしたい』と考えていますが。同行してもよいと考えている奥さんは30%です」

 と語り、地方の住宅市場を活性化させるための方策を数多く語った。

 むろん、解決しなくてはならない問題は、地方にかぎらず数多い。そもそも日本では、「中古住宅市場が、完全には機能していない」(石破氏)。空き家になる家の居住者を確保すること、老朽化で耐震面・安全面での問題が発生した場合のリフォーム資金を確保することが必要だ。石破氏は、

「消費者が住宅を選ぶ時代が来ます。どうやって賃貸住宅の品質を上げ、中古住宅市場を機能させるかです」

 という。