これは当たり前の厳しさであって、決して理不尽ではない。時間を守ることは仕事をする上では基本であり、これができなければ自分が損をするわけではなく、また会社の信用にも関わるわけですから、最初から厳しく対処することは当然のことです。

反論や抗議が許されない状況で
「教育」はエスカレートする?

 相手は「ゆとり教育」世代だから、より厳しくする必要があるだろう。特訓型研修の背景には、そんなムードもあるような気がします。

 王将フードサービスだけでなく、ある中堅ソフトウェア会社による2泊3日の合宿スタイルの新入社員研修もテレビで放映されていました。主なメニューを紹介しましょう。

 作文を書かせて、制限時間内に終わらない場合は、作文用紙が破り捨てられる。…これは納期を厳守することを学ばせるためだそうです。

 チーム対抗、40Kmウォーキング。復路は20Kmウォーキング。目的達成のために、チームとして何をすべきか考えさせることが狙いだそうです。

 ビジョン・ミッション暗記。自分の限界まで大きな声を出しながら暗記させます。自分では大きな声を出しているつもりでも、「限界まで大きな声」ではないと見なされれば怒鳴りつけられます。ちなみに、この2日目は、「断食の日」とされ、食事は与えられません。「ご飯を食べるという、当たり前にできていたことができなくなった時の辛さを経験させること」が狙いだそうです。

 エンドレスラジオ体操。全員が真面目で気合いの入った体操ができるまで終わらない、過酷なラジオ体操。「何事においても本気で挑む」という精神を学ばせることが狙いだそうです。

 その他、なんとも過酷な2泊3日の合宿研修です。

 番組を見て、受講者も大変だけど、指導する側の社員スタッフも精神的な負担が大きいだろうな、と思わずにはいられませんでした。小さなミスに対してでも本気で怒鳴る。理由はともあれ、本気で怒鳴るにはエネルギーが要りますし、3日間も「鬼の教官」として振る舞わなければならないのですから、相当しんどいでしょう。

 しかし、本当にしんどいのは、もちろん当の新入社員たちです。