1981年、当時の経営者たちはMBO(経営陣による自社買収)を行い、労働者の4割削減などの大胆なリストラと、社内組織及びマーケティング施策・生産体制の大改革を行いました。創業一族による、背水の陣での戦いでした。

 以降、ハーレーダビッドソンは劇的な業績回復・成長軌道に乗り、今やシェア50%(米国大型バイク市場)、売上高62億ドル、営業利益13億ドル(何れも2014年12月期決算値)を叩き出す、巨大超高収益メーカーに返り咲きました。

出所:Harley-Davidson HPデータより三谷作成

 2008年のリーマン・ショックなどでの打撃もありましたが、売上台数は1980年代の7倍以上になり、日本市場でも大型バイク市場では日本メーカーを圧倒しています。

 特にその収益性は抜群で、売上高営業利益率はなんと20%! 絶対王者ホンダに、売上台数では70倍、売上高でも2.5倍の差をつけられながら、営業利益額は、ほぼ並ぶほどの収益力なのです。

出所:各社 二輪車部門業績データより三谷作成

 その元となったのが、1980年代後半に導入された、「従業員参画型経営」と「大人のユーザーコミュニティの構築(*3)」でした。

モノでなくスタイルを売る

どんな高級バイクでも、四輪の高級車と比べればしょせん価格は、10分の1~数分の1。わがナイトロッドでも、ベースは180万円程度。プリウス(*4)すら買えません。

 ゆえにバイクを、通勤の足とか若者の玩具とかではなく、余裕ある大人の趣味と位置づければ、大幅なプレミア感の獲得が夢ではありません。実際、機能・性能だけで見ればハーレーはかなり割高です。同等の日本車の倍近くはするでしょう。

 だからなんなのでしょう。100万円余計に出せば、同価格の四輪車では決して手に入らない「スタイル」が手に入ります。更に望めば、それを共有する「仲間」が手に入るのです。

 日米を問わず、人生の後半においてこれらは、決して高い買い物ではありません。

*3 H.O.G.(ハーレー・オーナーズ・グループ)のマスコットはブタ。米語でhogが食肉用の成長した豚、を指すから。
*4 4代目プリウスは最低グレードが定価242万円。