シャープの液晶は誰の手に?
革新機構vs鴻海の行方

 シャープの液晶事業の行き先として、現段階で最有力候補と見られているのは中小型液晶パネルメーカー「ジャパンディスプレイ(JDI)」。12年に日立製作所と東芝、ソニーの3社が中小型液晶パネル事業を統合し、官民ファンドの「産業革新機構」が出資して誕生した会社だ。この“日の丸液晶連合”が中国や台湾のライバルメーカーとしのぎを削っている。

 現在、革新機構はシャープの液晶事業に出資して、このJDIと経営統合する案などを検討している。一方、鴻海の強みは“カネの力”。当初は2000億円規模の提案をしたと見られるが、22日には、「鴻海がシャープ本体への支援も含め、5000億円規模の出資を提案した」とのニュースが流れ、シャープ株が買われる場面もあった。

 革新機構がいくら出すかは定かではないが、最大で1000億円程度と見られる。現時点での提案金額だけを単純に比べてみれば、鴻海の方が有利だ。しかし鴻海の傘下に行ってしまえば、“日の丸液晶”の一角を敵に売り渡すことになるため、政府内でも異論の声が大きい。そもそも大赤字の元凶となっただけあって、「シャープの液晶をそのまま買っても、JDIが大儲けできるわけではない」(業界関係者)のだが、外資に売り渡すよりはマシ――。シャープの再建問題には、こうした“国の思惑”も絡んでいるのだ。

 もっとも、革新機構に売却するのも簡単ではない。前述したように、シャープは約7400億円の有利子負債(借金)を抱えている。この中には当然だが、液晶事業が抱える借金も含まれている。売却先に、液晶事業が抱える借金をそのまま引き継がせれば、シャープ本体は身軽になるが、今度は売却先が借金に苦しむことになる。そこで「どこまで借金を売却先に引き継ぐか」が問題となっており、交渉を難しくさせている。

 この液晶事業の行方が、目下の再重要案件だ。液晶のみへの出資なのか、シャープ本体も含めた出資なのか。革新機構も鴻海も、複数案を検討・打診しており、どのようなスキームに落ち着くかは流動的だ。