株価予想的中なのに損もあり得る
高値づかみを招く“価格の乖離”に注意

「一物二価」とは、一つは「基準価格」と呼ばれるETF発行市場における価格、もう一つは証券取引所(流通市場)で売買されるときの「市場価格」を指す。「指定参加者」と呼ばれる証券会社等や大口投資家は、基準価格に見合う現物株や現金をETFの運用会社に拠出し、ETFの受益証券を発行してもらう(設定制度、図1参照)。指定参加者等は受益証券を取引所で市場価格で売却できる。反対に指定参加者等は市場で買い集めたETFを運用会社に返却する代わりに、基準価格相当の現金や現物株を受け取ることもできる(交換制度)。一方、一般の投資家は、流通市場の市場価格で売買することになる。

◆図1:ETFの仕組み

  この設定・交換制度によって、ETFの市場流通量が変化する。基準価格より市場価格が高い場合、割安な基準価格で設定したETFを市場で売却すれば、差額が指定参加者等の儲けとなる。反対に市場価格のほうが安ければ交換を利用して利益を得ることも可能だ。こうした裁定機能が働くため基準価格と市場価格の差が生じにくい仕組みとなっている。

 しかし、図2の「日経平均ダブル・インバース型ETF」(日経Dインバ)のように基準価格と市場価格が乖離することがある。

◆図2:「日経DインバETF」の市場価格と基準価格の乖離率

  基準価格はファンドの純資産額から一義的に決まるのに対して、市場価格はオークションと同様に需給でも変化するためで、売り需要より買い需要が極端に多いと基準価格に比べて高くなることがあるのだ。通常なら両者に乖離があると価格調整機能が働くはずだが、この時期は運用会社が新規設定を一時停止していた。そのため買い需要に供給が追いつかなかった。加えて、市場で取引する投資家が価格の乖離を認識していなかったことも原因だと考えられる。

 終値ベースで最大の乖離は、15年12月1日に発生した7.2%であった。この日は日経平均が約3ヵ月ぶりに2万円を回復し、目先の反落を見込んだ投資家が「下がれば2倍儲かる」ダブル・インバース型ETFに数日前から大量の買い注文を出していた。その後、日経平均は約1万9000円まで下落し、12月10日には乖離率が0.3%まで縮小した。