『0歳からみるみる賢くなる55の心得』から、脳科学の権威・久保田競先生と、「脳科学おばあちゃん」久保田カヨ子先生のメッセージをお届けする。

なぜ、母国語が話せるの?

脳科学の権威が明かす<br />「本当に頭がいい子」になる方法久保田 競
(Kisou Kubota)
1932年生まれ。医学博士、京都大学名誉教授。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。『ランニングと脳』『天才脳をつくる0歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』など著書多数。

 20世紀の後半、脳の機能についての研究が進み、脳の働きが環境に影響される事実もいろいろとわかってきました。

 たとえば、生まれてから一度も人が話す言葉を聞いたことがない子どもは、言葉を話せるようになりません。また、反対に人が話すことを聞いていた子どもは、特別な病気がない限り、生まれた国の言葉を話せるようになります。

 このことからわかることは、脳へ言葉が入力されると、言葉を話せるようになる能力が備わっていくということです。

 ただし、生まれて3~4歳ごろまでに言葉を聞くことが大切で、それ以上に成長してから初めて言葉を聞かされても、普通の人のように話せるとは限りません。

 このように脳には、言葉に限らず、環境からの刺激を受け入れて、正しく反応する能力が備わっており、この能力は脳に刺激を与えないと、正しく発達していかないという性質があります。

 この原則は、言葉だけでなく、すべての感覚と運動に当てはまります。

本当に「頭がいい人」とは?

脳科学の権威が明かす<br />「本当に頭がいい子」になる方法久保田カヨ子
(Kayoko Kubota)
1932年、大阪生まれ。
脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。約30年前に、日本における伝統的な母子相伝の育児法を見直しながら、自身がアメリカ在住時と日本で実践してきた出産・育児経験をもとに、夫・競氏の脳科学理論に裏づけされた、“0歳から働きかける“久保田式育児法〈クボタメソッド〉を確立。この20年で3000人以上の赤ちゃんの脳を活性化させてきた。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。2008年、株式会社『脳研工房』を立ち上げ、現在代表取締役。著書に、累計34万部突破のシリーズ『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』『カヨ子ばあちゃんのうちの子さえ賢ければいいんです。』『赤ちゃん教育──頭のいい子は歩くまでに決まる』『カヨ子ばあちゃんの子育て日めくり』(以上、ダイヤモンド社)などベストセラー多数。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評。全国からの講演依頼もあとをたたない。
【株式会社脳研工房HP】 http://www.umanma.
co.jp/

 学校の試験の成績がよい人、もの覚えのいい人は、一般に「頭がいい」と評されます。これは記憶力、理解力が高い人であると言えるでしょうが、私の考える「本当に頭がいい人」とは、行動をうまく組み立てられる人のことを言います。

 私たちがなにかをする、つまり行動するときには、行動するための目標や解決しなければならない問題があります。

 問題解決のため、目標に向かって、次々と行う行動を前もってうまく組み立てられ、そのとおりに実行できる人が「頭のいい人」です。

 どこかへ遊びに行こうとすれば、なにをどのようにするか順序を無駄なく計画でき、そのとおり実行して、目標達成、問題解決ができる人のことです。

 急に雨が降ってきて、予定が狂った場合でも、臨機応変に行動が変更でき、結局、目標達成、問題解決ができる人のことです。

 うまく行動を組み立てるのに必要なことは、過去に脳の中に記憶していることを、取り出せなければなりません。

 過去のことを正しく記憶して、それを取り出して役立てられ、外の世界からの刺激(視覚・聴覚・触覚など)を正しく認識できる人が「頭のいい人」と言えるのです。