声と表情は密接な関係があります。あまり、人と話さない人は、顔がこわばって見えます。そして、顔の筋肉が硬くなり、表情が乏しくなるばかりか、声が出にくくなります。そうならないための簡単な方法は、あの有名なギャグ「アイーン」にあるのです!
新刊『「話し方」に自信がもてる 1分間声トレ』より、「1分間声トレ」を動画付きで紹介します。

表情が良くなると、声も良くなる

 顔にはたくさんの筋肉があり、それらを複雑に動かすことでさまざまな表情がつくられています。

 顔の表情をつくる筋肉を「表情筋」と呼びますが、この表情筋は発声においても重要な働きをします。

 私たちが言葉を発するときには、唇や舌などと一緒に、表情筋も動かしているからです。

 表情筋が硬い、つまり顔がこわばった状態だと、口の周りの筋肉がスムーズに動かなくなります。

 口が開かなければ、大きな声が出ませんし、一つひとつの言葉を明瞭に発声することもできません。

 言葉を滑らかに操れる口にするためには、顔の周りをストレッチして、表情筋を柔らかくしてあげることが大事なのです。

 その方法が、志村けんさんのあのポーズ、「アイーン」です。

 といっても、手のしぐさまでまねする必要はありません。まねしてほしいのは顔、特に口の周りです。

(1)頭を上に向けて、あごを前に突き出す。
(2)「アイ―ン」を1秒で5回繰り返す。

「イ」のときに、口を横に引っ張るイメージでやると、首にスジができます。

 人に見られると「おかしい人」と思われてしまいますから、誰も見ていないところで、恥ずかしがらずに、思いっきりやってくださいね。

普段しゃべらないと顔も声もこわばる

「アイーン」をやりながら、あごの下あたりの首筋を触ってみましょう。

 筋が張っているのがおわかりになると思います。

 筋肉に負荷がかかっているので、何度か続けてやっていると顔が疲れてくるはず。

 すぐに疲れてしまったという人は、普段あまり顔の筋肉を動かしていないのかもしれません。

 あまり人と会話しない生活を送っていると、顔の筋肉が硬くなり、表情が乏しくなるばかりか、声が出にくくなります。

 特に高齢になって人と接する機会が少ないと、顔の筋肉が次第に衰えてきて、皮膚が垂れ下がる「ブルドッグ顔」になってしまいます。

 私はボイストレーナーとして毎日よく声を出していますが、出産したときには1ヵ月ほど仕事を休み、あまり人と話さない時期がありました。

 その1ヵ月だけで、明らかに顔がたるんでしまったのです。

 声と顔の筋肉は密接に関係しているんだと、あらためて実感させられました。

 普段、人と話す機会が多くないという人は、顔がこわばっているはずです。

「アイーン」のポーズをすることで、口の周りが滑らかに動くようになります。

 話す前のストレッチのつもりで、何度かこのポーズを繰り返してみてください。