今回は、今までの連載の内容も踏まえ、将来優れたリーダーを目指そうという志を持った20代から30代前半の若手に向けて、どう成長していくべきか、についての指針を10項目にまとめてみました。現時点における、私なりの指針です。リーダーたるもの10個程度では語りつくせないほど必要なことはあると思うのですが、あえて今までの経験の中で重要だと感じた10項目に絞りました。
(1)目指す姿、目標を持つ
将来、総理大臣や孫正義さんのような社長になりたいなど、20代から30代前半ですごく遠くの目標を持つことはとても大事ですし、いいことだとは思いますが、遠すぎる存在だと逆に具体的なアクションに結びつきにくいこともあります。2~3年後にこうなりたい、という目標も設定するといいでしょう。
例えば、コンサルティング会社に入社して、初めてプロジェクトに参加する場合、必ず先輩がいて、その先輩の仕事ぶりを目の当たりにします。すごくインパクトがある、メッセージ性の高いスライドを書ける、とか、お客さんに対して切れ味鋭い提言をできる、とか、分析の手法一つとっても自分では考えつかないような切り口が出てくるなど、「なぜこの先輩はこんなことができるんだろう」と驚きもし、時には自信を失ったりするわけです。
そうした場合、先輩がどういうことにトライしてきたのか、具体的に教えてもらって、自分も実践してみましょう。その先輩のやり方が自分には合わないかもしれないので、一人の先輩だけではなく、他の先輩にも聞いてみます。そうしているうちに自分に合ったやり方や勝ちパターンを見出し、2、3年後には先輩のように仕事ができるようになります。こうして身近に具体的な目標を持つことが大事だと思います。そこからの逆算で、目標に近づくには自分が何をしなければいけないのか、とるべきアクションが明確になります。
(2)全てが成長の機会とドポジティブに捉える
“ドポジティブ”。あえてドをつけています。仕事柄、たくさんの経営者の方々とお会いしますが、経営者でポジティブではない人に出会ったことがありません。悲愴になっていることはあっても、悲観的な人は見たことがないです。
若手のうちは特に、コピー取りなど雑用を担当することが多々あります。私のかつての同僚は、コピー取りの合間に、毎回その資料を読み込んでいたそうです。その同僚が書く報告書は最初から相当の出来でした。このように一見成長につながらないように感じる作業からも、学べることはあります。