2月初頭の決算発表で何が起きる?
「勝負の1週間」を迎えたシャープを検証

経営危機の渕にあるシャープ。近いうちに大規模な再建策が発表される可能性はある
Photo by Naoyoshi Goto

 シャープ再建が待ったなしの状態になっている。いや、待ったなしなのは2012年から何も変わっていない。変わったのは、その間に優秀なシャープ社員が抜けていったことだけかもしれない。シャープの経営陣の最大の罪は、この数年間に何も決められなかったことだ。

 企業としてのシャープは死に体と言ってもいいだろう。あと数日で大規模なテコ入れが入るというのが大筋の見方だ。おそらくは、来週2月4日に予定されている2016年3月期第3四半期決算発表の際に、何らかの大規模な再建策が発表されるだろうし、そうでなければステークホルダーに対して示しがつかない。

 いや、そうした状況が2012年から続いてきたことを考えれば、来週もぐずぐずと何も決められないシャープのまま、という可能性もあるかもしれないが、それはシャープをより深刻な事態に追い込むだけであろう。

 ただ筆者は、経営組織として見た場合、現在の経営陣によるマネジメントが死に体とは思っているが、メーカーとして新しい製品を産み出しているモノづくり集団としてのシャープは、今でも高い組織能力を持っていると考えている。誤解のないよう詳しく説明したいのは、ここで筆者の言う「モノづくり集団」としてのシャープが持っている強みとは、組織能力であって技術であるとは言っていない。

 これまでも筆者は、各種メディアにおいてシャープのマネジメントについて辛口の論調で述べてきたが、シャープの製品や製品開発力について悪く言ったことは一度もない。むしろ、これほど長きにわたって経営の悪化が続き、トップが何も方針を出せず、社員のモチベーションも下がっているであろうシャープが、ゼロからの発想により、消費者が「なぜか欲しくなる」ワクワク感のある商品を生み出し続けてきたことを見ても、その組織能力はものすごく強いと思う。

 最近であれば、電球型のプラズマクラスターイオン発生器だ。なるほど、その手があったか。トイレのような狭い空間に、天井の電球ソケットに取り付けるだけの電球型消臭機を、シャープが得意なLED照明とプラズマクラスターイオン技術を活用してつくるとはとても面白いし、聞いただけで欲しくなる。これがシャープの組織能力である。

 ここには、シャープのLED技術やプラズマクラスター技術が活用はされているが、両者とも新技術ではない。何年も前から存在していた技術だ。ただ、それを電球型にするというアイディアは、シャープならではと言っていいだろう。言うなれば、シャープの財産とは、こうしたゼロから商品を生み出す商品コンセプト構想力、もう少し平たく言えば、商品企画力である。