経済活性化、市場安定につながるという期待も
一方で「インパクト不足」で効果は限定的か

 今回の決定自体への、専門家や市場関係者の評価は分かれている。

「マイナス金利の導入は、国債買い入れを増やすよりは効果的。日銀が金融機関から国債を買い取っても、金融機関はそれで得たお金を日銀に預けるだけだった。だがマイナス金利となれば、そういうわけにはいかなくなる。投資や貸し出しなど他に資金を振り向けざるを得ず、経済の活性化につながるだろう。本当の意味での金融緩和策になり得る」(井出真吾・ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジスト)

「マイナス金利というキーワードを出したのは演出としてうまい。為替相場の動きを見ても、期待に働きかけるサプライズは成功と言える。ドル円は117円~122円、あるいは120円~122円で値固めしてくる可能性がある。欧州中央銀行(ECB)の追加緩和も想定されるため、米国の利上げの影響を日欧がカバーする体制、ということで、マーケットにとっては安心感になる。金融市場が少し安定する期待を持てる」(村田雅志・ブラウン・ブラザーズ・ハリマン通貨ストラテジスト)

「イールドカーブ(金利曲線)を押し下げ、消費や投資を刺激することを狙ったものだが、これ以上これが低下しても、追加的な緩和効果は大きくない。むしろ、市場機能の喪失がいっそう進むという副作用の方が大きい。マイナス金利となる対象が限られたことから、現時点での金融機関への影響はさほどないが、将来的には金融機関の収益が悪化し、そのコストが貸出金利に転嫁されて(貸出金利引き上げなどで)金融引き締めになるリスクもある」(小玉祐一・明治安田生命保険チーフエコノミスト)

 日銀の“狙い”についての見方も様々だ。

「日銀の“陰の政策変数”は為替相場だ。年明け以降の金融市場混乱で円高が進んだ。今回追加緩和を行わなければ、1ドル115円を突破し、日経平均も1万6000円程度まで下落するリスクがかなり高かった。そうした“見送りリスク”を考慮して動かざるを得なかった」(小玉チーフエコノミスト)

「円高進行を避けたかったのは確かだろうが、むしろ金融機関に実体経済を刺激するよう、促したかったのではないか。将来的には、法人口座預金の金利がマイナスになる可能性もあり、企業にもあらためて、内部留保の一部を設備投資や賃上げ、配当などに回せ、というメッセージを送ったものだと思う。特に賃上げに関しては、春闘を意識すれば、日銀にとって今回が最後のチャンスだった」(村田通貨ストラテジスト)

 一方で、多くの識者の間で一致している見解がある。「とりえあずサプライズではあったが、過去2回の緩和策に比べればインパクト不足」(小玉チーフエコノミスト)であり、その効果、特に実体経済すなわち景気や企業への効果は限定的、ということだ。