なぜ「指示しない職場」で
業績が上がっているのか?
特筆すべきは、リーダーとしての米山さんの究極の仕事が「ビジョンの共有」だということです。
「お客様に残さずに食べきっていただくためにどうすればいいか?」について、何か具体的な指示があるわけではなく、そこは各メンバーに委ねられています。
事実、「塚田農場」の各店舗には、自由予算枠が与えられています。その範囲内であれば、現場の判断でさまざまなサービスを提供できるのです。
具体的なアクションは、現場のスタッフによって異なりますが、それぞれが根本に持っている目的は同じです。
「お客様に満足してもらって、リピーターになってもらえれば、原材料を安定的に仕入れることができる。そうすれば生産者さんたちの生活も安定する」―そんな同じ目的に基づいたストーリーが見えているからこそ、細かなマニュアルで指示されなくても、メンバーそれぞれが自発的にお客様の満足度を高めようと工夫できるのです。
これが実際の業績にもつながっており、同社のリピート率は居酒屋業界平均の倍以上だというから驚きです。まさに、ビジョンを共有した現場の工夫がなせる技だと言えるでしょう。
(第3回へつづく・2月8日公開予定)