潮目が変わったら、
価格は下落局面に入るのか?

 確認してきた情報を総合すると、市況の現状把握は次のように言える。

「アベノミクス以降マンション価格は一本調子で高くなってきたが、売り時であると考える人が増え、中古の供給が急増している。これに加えて、諦めたくなるほど高い価格と杭の偽装問題を懸念する傾向から需要が冷え込み始め、需給バランスは一気に悪化した」

 これだけ潮目の変化を表す情報が揃っていれば、価格は下落しそうなものだが、筆者はそうなるとは考えていないし、前述の連載第6回で予測した通り、当面価格は横ばいと考えている。その理由は、金融緩和が継続すること、建築費が依然高い水準にあることである。

 1月29日に発表された日銀の追加金融緩和では、初のマイナス金利政策を導入することが決まった。こうした金融緩和は、インフレターゲットを達成できていない現状から想定されていた。不動産を担保にして今まで以上にお金が貸し出される状況になれば、価格が下がることは考えにくい。建築費も当面下がらない状況は続くと思われ、新築マンション価格が下がることもない。需要が細るなら、新築デベロッパーは供給を先送りにして、売れる分だけの供給戸数に絞るだろうし、供給戸数が減れば価格を下げなくて済む。

 一方、中古価格は新築と連動して動くので、需給は緩むのでやや下げる方向になったとしても、新築と大きく乖離することはなく、下げは限定的となるだろう。価格に大きな変化がない以上、取引戸数が大きく変化することはないので、在庫が高水準で推移することとなる。

 個人の売り主側としては、売り切ることができなくなるリスクが高いので、注意が必要だ。新築に引っ越すために今の中古を売却しようとしている方は、早めに対応を決めないと今の物件を売れず、その結果新築をキャンセルせざるを得なくなるリスクが増えていると、考えるべきである。

「売るなら、早めに売却先を決める」――。それが現在の市況における取るべき行動である。