つまり、1000万円をこの保険に投入すると、商品によっては約80万~90万円の手数料が銀行の懐に入る計算となるわけだ。

投信に比べて格段に不透明な
保険の手数料

 役務収益の確保が必須の銀行にとって、投資信託よりも実入りが大きい豪ドル建ての保険は、「年度末に販売量が急増する」(外資系生保幹部)ことから、過酷なノルマ達成のために高額な手数料を狙ったとしか言いようがない。

 まさに、金融庁はこの点を問題視したわけだ。そこには、「保険課長の意向が強く働いている」と言うのは、複数の大手生保幹部。

 というのも、昨年7月に就任した保険課長の前の肩書は証券課長で、投資信託の回転売買による手数料稼ぎなど、販売会社の利益を優先した販売姿勢に対してメスを入れてきた人物。顧客の立場に立った商品の販売・提供を意味する「フィデューシャリー・デューティ」を掲げる金融庁にとって、看過できない事態というわけだ。

 対する生保は、これまで手数料開示が議題となるたびに猛反発してきたが、高額な手数料の実態を突き付けられてはなすすべもない。

「投信と保険は別もの。銀行に支払う手数料は保険会社の持ち出しで、後々運用益から回収する商品も少なくない」(大手生保首脳)というが、すでに後の祭り。開示されれば、「手数料を下げる圧力が働く」ことになり、窓販での保険販売は厳しくなるだろう。

 ましてや生保は、日本銀行によるマイナス金利政策の導入で運用難に拍車が掛かる上、来春には、長引く低金利の影響で、責任準備金を計算する際に用いる運用利回り「標準利率」が、現行の1%から0.5%に引き下げられる予定だ。さらに、マイナス金利が長引けば、0.25%にまで下がる可能性すらある。

 すなわち、利回りの高い商品を設計しづらくなり、ダブルパンチを食らうことになる。

 それだけではない。開示の対象となる商品や販売チャネルの範囲について、金融庁は明言していない。つまり、5月末に施行される改正保険業法では、乗り合い代理店などで横行した手数料狙いの偏重販売にメスが入るが、改善されなければ、対象となる商品や販売チャネルは拡大されかねない。

 金融庁が投下した手数料率の開示という“爆弾”。すでにメガバンクと生保との間で綱引きが始まるなど予断を許さない状況だ。