どうしてもつくりたかった「現場本」

編集 出会いから10年、2007年に『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』を出版。その後、小山社長が2013年に手術を受けられ、翌2014年に『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』を出版。この本は「環境整備の決定版」という気持ちでつくりました。
 今回の『1日36万円のかばん持ち』は、現場大好きっ子の私が、小山社長の「真実は現場にしかない!」という信念と、実績を出し続けている「現役社長」でありながら、600社超の会社を指導している「稀有な立場」から企画発想したものです。

小山 そうだったね。自宅で雑談していたときに、「それいい!! 面白い! よし、すぐやろう!」とトントン拍子で進んでいったね。

編集 でも、取材は計40社超! 1年半かかりました。そのおかげで、じっくり話も聞け、熟成しながらつくった感があります。
 私は全国津々浦々の全社長にお会いしました。とても「現場感」ありましたし、刺激的な取材でしたね。

小山 今まで聞いたことのない話がたくさん聞けて、面白かったでしょう?

編集 毎回、笑いの連続で面白かったですね。特に、夜の銀座久兵衛本店、歌舞伎町一の高級クラブ、北新地(大阪)などでの小山社長と「かばん持ち」社長の数々のエピソードに驚きましたね。10年おつき合いしていて、こんな一面があったとはまったく知らなかった!(驚)
 ただ、本の中に、経営に役立つノウハウをしっかり埋め込みたい私にとって、武勇伝だけでは意味がない。面白エピソードと経営ノウハウの両輪がドライブがかること。これが重要だったので、根掘り葉掘り質問しました。
 あと、「運の引き寄せ方」や「ゲンかつぎ」など、「掃除本」では絶対お目にかかれない小山社長の人間らしいトピックもあって、本当に面白かった。だからこそ、このエピソードを、本書の「特別付録」――三流が一流に一夜にして変身! 3日で108万円払った社長も知らない! 役立つ着眼点・習慣・秘録リスト24、として収録しました。
 取材当初から「現場で本当に使える書籍にしたい」と思っていたので、『1日36万円のかばん持ち』は、面白くて役に立つ本にすると決めていました。

小山 「面白エピソード」と「経営ノウハウ」の両輪が大事。再現性を担保するには、そうでないといけないよね。

編集『1日36万円のかばん持ち』は、私が小山さんの本でいちばんつくりたかった本かもしれません。「スラスラ読めるのに、深い! 面白い! 役立つ! 40の心得集」!

小山『1日36万円のかばん持ち』は、経営の根幹をなす本です。

編集すばらしい本を有り難うございます。しかし、本書にもありましたが、自称「パクリの天才」小山社長が、「かばん持ち」もパクリだったとは驚きです!

小山 そうなの。私の「かばん持ち」は、株式会社ザメディアジョンの山近社長のマネです。山近社長が「大学生に『かばん持ち』をさせている」(「鞄持ちインターンシップ」……商標登録)ことを知った私は、さっそくパクッて、「経営者向けの『かばん持ち』」をプログラム化しました。

編集 本当にすぐに自分のモノにされますよね。その決断スピードの速さを、「かばん持ちの社長」たちは、小山社長をF1レーサー、自分たちが自家用車、とたとえていましたが、本当にそうですよね。1億円の決裁をほんの数分で決めている瞬間を見た社長もいるとか。

小山 ああいるね。間違って失敗しても、とりあえず決断して前に進むことが大事なんです。その肌感覚を養ったり、歌舞伎町一の高級クラブでおもいっきりお金を使う……これで投資のリミッターがいい意味で外れ、社長の投資感覚がすごく養われるのです。

編集 仕事中にパチンコ店で勝率8割を誇る「パチンコ実践塾」もそうですが、遊びの中にも「仮説と検証」を巧みに織り込みながら、遊びと経営は一緒だよ、と身体で覚えこませているのがすごいですよね。 

小山 寺田さんも、早朝5時50分から「かばん持ち」を体験したよね。どうだった?