「本に書いてあることすべてをわがものにしよう」という考え方は、こうした古い「所有」の概念の延長線上にあるように思います。
モノに溢れた世の中で、人々の価値観が「所有」から離れていったように、さまざまなウェブメディアが浸透して情報で溢れ返る状況下では、情報をすべて「所有」しようとすることには無理があります。
本についても知識についても、本当に手元に置いておくべきものだけを残し、それ以外はため込まないことがあたり前になりつつあるのです。
これはつまり、必要なものと不要なものとを分ける「取捨選択」がとても重要な意味を持つということ。
それが現代であり、だからこそ読者も、本を読むときには「必要なところ」だけを読むべきなのです。