「ライフハッカー[日本版]」「NewsWeek日本版」などのニュースサイトに、月60本近くのブックレビュー記事を寄稿し、年間700冊以上の読書量を誇る人気書評家の印南敦史氏。そんな多読生活を送る彼も、数年前までは「1ページ5分」かかるほどの超・遅読家だったという。
遅読にもかかわらず、毎日1本の書評を書くことになった彼がつかんだ、新時代の読書術「フロー・リーディング」とは? 最新刊『遅読家のための読書術』の内容をベースに、「読書スピードの遅さ」や「読書量の減少」に悩む人たちにお届けする。
印南氏が提案する「フロー・リーディングの習慣」は、「持たない時代」に最適化された読書スタイルだという。なぜ「引用」しながら読むと、私たちの「知識」はより自由に解放されるのか?
「持たない時代」の本の読み方
世の中では「所有」をめぐって価値観が激変しているといわれます。自分が所有するモノをできる限り減らすライフスタイルが提唱されるようになったのです。
わかりやすいのは自動車でしょうか。以前であれば、高い維持費や駐車場代がかかる自動車を誰もが所有していました。
しかし、いまでは若い世代を中心に自動車を持たない人たちが増えています。週末にしか乗らないのだから、一時的に車を「使える」環境(レンタカーやカーシェアリング)があれば十分だという考え方。
「所有(持つ)から使用(使う)へのシフト」などといわれることもあります。