広がる投資対象業種と今後の増加が予想される製造業

 海外からの進出が増えるに従って、進出対象の業種も広がりを見せている。以前は、インフラ関連や縫製業等、特定の業種に偏っていたが、最近の進出事例を見ていると、より幅広い業種で進出先とみなされるようになっていることが見えてくる(図表1-4)。

 外国投資法の適用を受けたミャンマーへの外国直接投資の業界別推移を見てみると、2012年には製造業、電力、石油・ガス、ホテル・観光業の4業種が、金額ベースで全体の約97%を占めていた。それが、2014年においては、これら4業種の占める割合は、64%まで低下している。このデータ上には表れてこない飲食や金融関連、その他のサービス業を含めると、進出対象業種の拡散が進んでいる。こうしたことからも、今までは一部の業種の特殊な会社だけの投資対象先だったミャンマーが、より一般的な投資対象先になっていることが見て取れる。

 投資対象になる業種が広がりつつある中で、今後更なる増加が見込まれるのが製造業だ。2012年以降、製造業への投資件数は着実に伸びており、2014年には件数ベースで141件に増加している(図表1-5)。

 喫緊の課題であったインフラ整備への投資が増加し、今後、よりインフラ整備が進むにつれて、製造業は更に伸び続けるものと予想される。その理由は2つ。1つ目は、日系企業が現在進出している中国や東南アジアの近隣諸国での人件費の高騰で、2つ目は、ミャンマーにおける事業環境の整備だ。

 一例として、東南アジアにおける日系製造業の集積地といえば、まず思い浮かぶのがタイだろう。現地に存在する日系企業数は8000社を超えるといわれている。ただ、そのタイにおいても、人件費の上昇や洪水リスク、政情不安等から、工場を分散する動きが最近は盛んだ。そうした「タイ・プラスワン」の候補地として、より人件費の安いベトナムやカンボジア、ラオスなどが注目されている。

 ミャンマーはその候補には上がるものの、今まではインフラ等が未整備のため結局カンボジア等の別の国に流れていった。ただ今後は、こうしたミャンマーでのインフラ面の整備が進むことで、タイのすぐ隣にあり、域内で最も人件費の安いミャンマーを、より積極的に進出先として検討するようになるだろう。

 製造業の中でも、自動車関連は隣国のタイでの事業集積もあり、非常に期待される分野だ。すでにミャンマーで小型トラック工場を稼働させているスズキは、現地に乗用車の新工場建設を発表しており、ヤンゴン南東のティラワ工業団地に土地を確保し、2017年の稼働を目指している。それ以外にも、日産自動車が2015年以降に、マレーシアのタンチョン・グループに委託する形で小型車「サニー」の生産を始める方針を表明しており、こうした動きの中で、製造業のすそ野が広がることが予想される。