安倍政権でも、「一億総活躍社会」を標榜し、「女性の活躍」を打ち出した。これも本来は、野党が訴えるべき政策だったが、安倍政権が横取りした形になっている(第112回)。また、野党が強く実現を訴えていた「同一労働・同一賃金」もある。安倍首相が難色を示し続けていた政策だったのだが、突如、「有識者を交えた国民会議で、実現に向けて具体案を練っていく」という方針を打ち出した。これも野党の支持者を取り込んでいく戦略の1つといえる。

 だから筆者は、たとえ「野合」と言われようが、政策の一致は後回しにしても1つの大きな「反自民」の野党を作って対抗するしか政権交代はないと主張してきた。2009年の政権交代前には強く主張してきたし、現在でも「世界最強の包括政党」自民党に勝つには、1つの大きな反自民勢力を作るしかない戦略はないのだと思っている。

国民の「野合」アレルギーには政策別の
野党再編という「真面目な姿」を見せるしかない

 しかし、民主・維新にとって頭が痛いのは、国民の「野合」に対するアレルギーが非常に強いことだ。3年間の民主党政権では、党内の政策志向がバラバラで、「寄り合い所帯」と厳しく批判され続けた。憲法、安全保障、財政、税制など基本政策を巡って党内が分裂して足を引っ張り合う醜態を晒し続けたことで、民主党は国民から徹底的に不信感を持たれてしまった(第119回)。

 これは、安倍政権が、国民人気がさほど盛り上がらないのに、「野党よりまだマシ」という消極的評価で高支持率を維持している原因の1つとなっている。新党も、基本政策を一致させるのは簡単ではない。特に、野党の間で最も政策志向がバラバラなのが、安全保障政策である。

 安保法制の国会論戦において、野党の考え方は実は多様であった(第115回・下)。民主党は、集団的自衛権は「違憲」であり、安保法制の「廃案」を主張したが、国際的な安全保障環境の変化は認識しており、「個別自衛権」での対応を主張していた。

 これに対して、維新の党は「集団的自衛権の限定的行使容認」自体には賛成で、行使の要件として「自国防衛の目的を明確にする」を問題視していた。更に、「次世代の党」「日本を元気にする会」「新党改革」の3党は、「国会の関与」があれば自衛隊の海外派遣を認めるとした。

 要するに、「なにがなんでも反対」というのは、実は、社民党・共産党・生活の党だけだったのだ。民主と維新の間でさえ、安全保障政策を一致させるのは時間がかかるだろうが、社民や生活と一致させるなど無理なのである。政策の一致を棚上げするしかないのだが、国民の「野合」に対する不信感は本当に根強く、理解を得ることは難しい。