病院とは「補い合う関係」

 応対する常勤スタッフは7人、うち3人は看護師。施設長は看護師か心理学者が務める。放射線治療の専門家や臨床心理士もいる。非常勤で栄養士や太極拳の指導者などが3人。ほかに庭園や事務などのボランティアも加わる。敷地内の病院の看護師など病院職員もよく出入りするという。

 診療法についての葛藤はよくある。「家族の中でも考え方はばらばら。1人1人の話をきちんと聞くことが私たちの役割だと思っています」。

 カップルが言い争うことも。「つい先日も、患者の男性はもう治療を止めたいと言うが、女性はもっと治療を続けて、と言い張っていました」。

 私たちの視察団の看護師が、「病院にはMSW(医療ソーシャルワーカー)がいて、患者の相談相手になっているのでは」と尋ねると、「短期的緊急な課題には応じてくれますが、長期的なことにはなかなか難しい。昔はやっていましたが、今は忙しくて…」と苦笑いしながら答えた。

 年間80万ポンド弱(約1億5000万円)の運営費はほとんど寄付だという。寄付文化が浸透している国ならではである。

 4日後にロンドンの「マギーズ・ウエストロンドン」を訪ねた。2008年の開設だ。チャリング赤十字病院の敷地内に建つオレンジ色の外壁が印象的な「家」である。民家風のエジンバラと違って、モダンな雰囲気。だが、無機質な病院の高層ビル群の中では、場違いなたたずまいという点では同じだ。

吹き抜けで大きな窓と庭がある(ロンドン)
こちらも室内はオープンキッチン(ロンドン)

 やはり室内には、オープンキッチンに吹き抜け、中庭の緑、大きな窓がある。

「病院から開いてほしい、と言われ」開設したとスタッフが話す。「医療モデルの病院と生活第一のここは互いに補う合う関係。医師はどうしても専門家になりがち。薬など対応法で考え方が違えば、議論するように提案します」と打ち明ける。

見送りに出てくれたスタッフ(ロンドン)