そしてこの3つの視点にもとづく政策は、すべてアメリカの中産階級以下の雇用や所得を増やしそうだということで、トランプ氏の支持率上昇の原動力にもなっている。

 これらをどこまで本気でやれるかがトランプ大統領誕生後には問われるだろう。

 メキシコ国境に万里の長城を築いて不法移民をゼロにするというような政策は実際には実行されないだろうが、メキシコや中国に対してトランプ大統領は強硬な政治要求を示していくであろうことは間違いないだろう。

 さらにトランプ氏が中国やメキシコと同じく敵と見定める対象はグローバル企業になるだろう。

 世界中でお金を稼ぎながら、税制をうまく使ってアメリカに税金を落とさない企業、そしてアメリカから雇用を奪っているとみなされるグローバル企業に対して、トランプ大統領は厳しい立場をとるようになるだろう。

 トランプ氏がこれまでの政治家と一番違う点は、自分の資産で大統領選挙を戦えるということだ。

 オバマ大統領もブッシュ前大統領も、大統領になったとたんに公約をひるがえしてしまった。なぜあんなに豹変するのかと感じる方も多かっただろう。最大の理由は数百億円もの大量の選挙資金を得る過程で、さまざまな政治利権関係者にがんじがらめにされてしまい、大統領就任時点ですでに自分のやりたいことが何ひとつできない状態になっているからだ。

 ところが自力で選挙戦を戦うトランプ大統領には、そのようなしがらみがない。これまでの大統領たちに資金を提供してきた石油業界、自動車業界、武器産業、製薬業界、農業業界など考えられるありとあらゆる既存の抵抗勢力に対して、トランプ氏は強気でいられるだろう。