アレクサンダー大王、カエサル、
ナポレオンも歴史から戦略を学んだ
歴史から戦略を学ぼうとしたのは、私たちだけではありません。東方遠征で世界帝国をつくり上げたアレクサンダー大王は、歴史叙事詩『イリアス』を戦場でも枕元においていたほどです。カルタゴの名将ハンニバルはアレクサンダー大王の戦闘を詳細に研究して、巨大なローマ帝国を震撼させる勝利を収めました。
古代ローマが世界帝国となる基礎を築いたユリウス・カエサルもまた過去の戦史から学び、どんな敵にも勝つほどの突出した戦果をあげました。フランス革命の申し子といわれ、一人の青年将校の身分からフランス皇帝となったナポレオン・ボナパルトも、歴史で活躍した名将たちから戦略を学ぶことでヨーロッパに大転換をもたらす勝利を重ねました。
「戦術は幾何学のように、あるいは工学のさまざまな進歩や砲術のように全集の中で学ぶことができるが、戦争の大原則に関する知識は、軍事史や多くの偉大な名将たちの戦いを勉強することや実際の経験を通してのみ、得ることができる」(ウィリアム・ダガン『ナポレオンの直観』よりナポレオンの言葉)
戦略とは勝利を収めた人、成功を勝ちとった人たちの思考の集大成です。そして、それらは時の流れの中で多くの人に研究され、実行され、さらに磨かれて結晶化していきます。歴史の中で淘汰されながら生き残った鉄則を学ぶことは、みなさんのあらゆる戦いにも必ず役に立つはずです。
古今東西、3000年の勝者の絶対ルール
歴史上の戦争では、必ずしも大軍の側が常に勝っているわけではありません。同様に、栄えていた側が常に勝つわけでもなく、優れた戦略を考案し、実行できた側が勝利しているのです。
この連載では、人類が壁を打ち破り、閉塞感を打破するために発展させてきた戦略を、ビジネスや人生で現代の日本人が活用できるようにまとめ、ご紹介いたします。取り上げる戦略家は、ハンニバル、カエサル、張良、諸葛孔明、チンギス・ハン、源頼朝、織田信長、徳川家康、リンカーン、ナポレオン、大村益次郎、モルトケ、ファルケンファイン、ハルゼー、毛沢東、パウエルなどです。
鈴木博毅・著
定価:1600円+税
発売:ダイヤモンド社
この度上梓した新刊『戦略は歴史から学べ』では、紀元前9世紀の古代ギリシャの戦いから1990年の湾岸戦争まで、地域もヨーロッパ、アジア、アメリカ、中東、日本にわたり、古今東西の戦略家をさらに多く取り上げています。ご興味があれば、こちらも手に取ってみてください。
彼らの戦略は、今日のビジネスにおいても十分通用するものです。同書では、歴史上の戦略と、マイクロソフトやグーグル、アマゾン、フェイスブック、トヨタ、ユニクロ、ソフトバンク、セブン‐イレブンなどの戦略のどこが共通しているかを考えながら、戦争でもビジネスでも、「戦いに勝つ」ために有効な不変の法則を抽出していきます。