違法ではないが“禁じ手”

 もちろん、こうしたスキームはルールにのっとっており、決して違法ではない。しかし、「いくら積み立て超過だとはいえ、安全運用すべき年金や退職金の原資に手を付けるのは“禁じ手”。運用が好調な間はいいが、ひとたび悪化したらどうするのか」(市場関係者)といった批判は根強い。

 これに対しイオンは、「いずれも期初から検討していたことで、たまたま業績下方修正のタイミングと重なっただけ。直接リンクしているわけではない」とするが、「結果的にそうみられても仕方がない面はある」と認める。

 ここまでイオンが苦しいのは、総合スーパーを手掛けるイオンリテールが大幅な営業赤字に陥っているから。既存店をスクラップ・アンド・ビルドしているほか、「イオンスタイル」と名付けた店舗へ改装するなど改革を進めているものの、業績悪化のスピードに追い付いていない。

 また、好調な上場子会社があるものの、出資比率が50%程度のため、「最終利益として取り込めていない」(流通企業幹部)といった事情もある。

 今回、イオンが使った手法は一度きりで二度目はない。本業の業績を回復させなければ、今度こそ大幅な最終赤字に転落しかねないといえる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 田島靖久)