来年度の再エネ買取総額は
1兆8000億円を超える

過剰な補助が“太陽光バブル”を生む
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 太陽光や風力といった自然エネルギー(再生可能エネルギー)を利用して発電した電気を、電力10社が固定価格で10~20年間買い取ることを義務付ける仕組みは“FIT”(固定価格買取制度)と呼ばれる。買取費用は電気料金に上乗せされ、一般家庭や企業など需要家が負担する。一般家庭の場合、毎月の電気料金明細票に「再エネ発電賦課金」と書かれているのがそれだ。

 3月19日、経済産業省が発表したところでは、平成27年度の再エネ賦課金単価が1kWh当たり1.58円(標準家庭[1ヵ月の電力使用量が3001kWh]で月額474円)に決定したそうだ。これだけだとあまりピンと来ない人も多いと思うが、経産省が発表した資料をよく読むと、相当の危機感を抱いてしまう。

 端的に言うと、「平成27年度は、非住宅太陽光(いわゆるメガソーラーなど)からの買取電力量の増加で、買取総額は1兆8000億円を超える。これは、平成26年度の買取総額の2倍」というもの(参考1)。詳細については、私のブログ記事を参照されたい。

◆参考1

出所:経済産業省資料のp3

 FITは再エネ導入を強力に促進するための助成策で、ドイツの制度を参考にして創設された。日本でFITが始まったのは2012年夏だが、ドイツでは2000年から実施されている。

 ドイツのエネルギー政策に関する日本のマスコミ報道は、“2022年の原子力ゼロ化と、再エネ発電比率の2020年35%~2050年80%を目指すために邁進している”ことへの賞賛が多い。ドイツのこうしたエネルギー政策を含む一連の流れは“Energiewende”(エネルギーヴェンデ[エネルギー転換])と呼ばれる(参考2)。

◆参考2

出所:Deutscher Industrie- und Handelskammertag(ドイツ商工会議所)