マイナス金利はREIT価格を急上昇させた。マイナス金利が長期にわたって継続し、預金金利もマイナスになるような事態になれば、REITなどを通じて大都市の優良物件だけに投資資金が集中し、不動産価格の二極化現象が拡大する可能性がある。
三大都市圏と地方中枢都市の地価が上昇
土地が投機の対象となりうる時代に
三大都市圏平均の商業地公示地価の推移を見ると、図表1のとおりだ。
1990年代初めに不動産バブルが崩壊し、三大都市圏商業地の地価上昇率は92年以降継続してマイナスを続けてきた。それが変化したのが、2006年から08年までで、地価上昇率がプラスになった。この現象は、「ミニバブル」と呼ばれた。
しかし、リーマンショックを契機として再び下落に転じ、09年から13年まで上昇率がマイナスを続けた。
ところが、14年からは上昇率がプラスになった。16年は2.9%というかなり高い値だ。地方中枢都市では、5.7%だ。
◆図表1: 商業地の地価上昇率(三大都市圏平均)
三大都市圏商業地の地価が1988年に46.6%もの上昇率を示したことに比べれば、もちろん比較にならないほど低い。また、ミニバブルの際、08年に10.4%になったことと比較しても、かなり低い。ただし、プラスの上昇率となり、しかも図表2に示す預金金利を上回っている。
◆図表2: 定期預金金利(預入金額1000万円以上、10年)