安さが、生活防衛意識を強めた消費者に受け入れられ、激安、低価格が世の中を席捲しています。低価格を売り物にしたABC-MARTやファーストリテイリングは増収増益を達成する反面、高価格というイメージが強い百貨店は、5月時点で、15ヵ月連続前年同月比割れ(日本百貨店協会調べ)で、6月からバーゲンセールを前倒しで始めています。定価販売のコンビニも値下げをせざるを得ない状況に追い込まれています。

 今回は低価格を実現するためにどのような工夫を行い、そこから見えるコスト削減のポイントを考えてみましょう。

低価格を実現している10の事例

 低価格を実現するためには、企業はさまざまな工夫を行っています。その事例を見ながら、共通する点は何かを考えてみましょう。

 まずは、以下の事例をよく読んで、ポイントは何かを計数感覚(第1回参照)でイメージしてください。【 】がある時は、当てはまる用語を考えながら読んでください。

1)自動車メーカーは車種を削減し、部品を共通化することで、原価の低減を狙っています。流通では、大手スーパーのイオンなどは大量一括仕入で、中小の小売業者は共同仕入によって、低価格販売を目指しています。

2)地産、地消(現地生産、現地消費)の動きが活発です。食品などの物流に伴う環境負荷を軽減するという効果とともに、【 ア 】も抑えて低価格の実現に貢献しています。たとえば、ローソンストア100とショップ99のPB商品(バリューライン)で販売されている2リットル105円(税込み)のミネラルウォーターは、採水地に近い加工工場で生産し、採水地に近い地域の販売店で販売することで、【 ア 】を抑えて、低価格を実現しています。

3)イタリアンレストランチェーンを経営するサイゼリヤでは、厨房を一人でこなして、1時間に6万円程度の売上をあげるだけの仕事をこなしています。この作業効率化のために、店舗の調理場で包丁を使わない工夫がされています。

4)サイゼリヤの厨房での作業効率を上げるために、野菜などの加工は、【 イ 】ですべてこなしています。(3)と(4)の取り組みが相乗効果を生み、低価格実現に貢献しているのです。

5)50円、20円、10円など激安飲料を販売する自動販売機が最近話題です。これらの商品は、メーカーや卸が、賞味期限が短くなった商品を低価格で投売りしたり、倒産企業から流出したり、さまざまな事情があるようです。