中堅社員でも7~8割は「できない社員」
多くのビジネスリーダーは、以下のような環境で育ってきた人たちです。
・仕事は教えてもらうものではなく、自分で覚えるものである。
・人事というものは何の前兆もなく、いきなりくるものであり、自分の希望は、ほとんど通らない。
・もし、それに不満があるのなら、会社を辞めるしかない。
これは私たちの世代の暗黙の常識でもありました。
しかし、これらは今の若い人たちにとっては非常識なようです。表現は悪いですが、私たちの世代と彼らとでは人種が異なるのです。
ある企業の実例を紹介します。
この企業では、いくつかの事業部門の統廃合に伴って大規模な人事異動があり、A部は他部署から50名以上もの中堅社員(20代後半~30代半ば)を受け入れることになりました。
私はその全員にインタビューを実施し、彼らの意識調査をしました。どの企業でも大差はないのですが、結果は、第1章で紹介した通りの内容です。主体的な社員は少なく、全体の70~80%が以下のタイプに分類されました。
(1)問題は自分以外にあると考える、基本が他責の社員
(2)指示待ち体質がしみついた無関心の社員
(3)頭でっかちで行動が伴わない評論家タイプの社員
彼らから出てきた不満のトップ3は以下のものでした。
・異動にあたって、前の職場の上長から充分な説明がなかった(だから、モチベーションが上がらない)。
・業務の知識レベルに関しては新入社員と同じだが、周囲からはベテラン社員と見られている(だから、わからないことがあっても、聞くに聞けない)。
・事業の全体像がわからないため、中長期の計画が立てられず、その日暮らしの仕事をしている(結果として、意味のない残業が増えている)。