コミュ障のススメ?

川上 理不尽さが人生という意味では、クリエイターでもコミュニケーション能力がある人ばかりが目について残念です。

川村 そこはコミュ障(※コミュニケーション障害)であって欲しいんですね。
川上 そうそう。コミュ障じゃない段階で、僕はその人の能力を疑いますね。しゃべりのうまいプログラマーとか、たいしたことないですよ。営業をやらせた方がずっと向いているんじゃないでしょうか。

川村 映画の世界でも宮崎駿監督とか庵野秀明監督みたいな、一人でルールを変えてしまう圧倒的なクリエイターは、出にくくなっているのかもしれないですね。
川上 今は一人のカリスマでなく、大人数やチームでやらないと何でも結果を出せない時代になってしまったので、チームのトップになることイコール、コミュニケーション能力が要るという矛盾も生じているんじゃないですか。

川村 僕の場合は幸いというか、予算やクリエイティブがなかなかコントロールできない曲者(くせもの)の映画監督やクリエイターばかりと仕事をしている気がします( 苦笑)。
川上 言うことを聞いてくれない人の面白さってありますよね。勝手に自走してくれるから、楽だし。

川村 お手上げ状態の人が見つけてくるものは、それだけでやたら、感動したりしますしね。
川上 川村さん、『かぐや姫の物語』の制作に8年も費やしたスタジオジブリの高畑勲監督とも、今度映画を作ってくださいよ。

川村 できあがるのかなぁ(笑)。

(2015年5月 東京・銀座のドワンゴにて)