政府は反ダンピング課税についての政令を5月から変更・実施することを緊急決定した。このことで今後、海外から日本市場に不当に安いダンピング価格の製品が流れ込んできた場合に、日本企業が対抗措置として反ダンピング課税申請をしやすくなる。
少々わかりにくいニュースに聞こえるかもしれないが、実はこのニュース、日本にとって大きな方針転換を指し示すビッグニュースだ。
過去、日本製品は世界中の政府からダンピングの疑いをかけられて、何度も反ダンピング課税を宣告されてきた。その一方で日本政府は海外製品について、ほとんどと言っていいほどダンピング認定をしてこなかった。
そのため日本はある意味で、海外企業が作り過ぎた商品をダンピングして売りさばくための、いいお得意先になっていた。被害が出ても何も言わないので海外企業にとっては都合がよかったのだ。それを今回、方針転換しようというのがこのニュースである。
日本政府が重い腰を上げるほど
深刻なチャイナショックの実情
なぜそれほど大きな方針転換がいま、起きているのか?大規模なダンピングの動きが実際に起きているからこそ、政府が緊急に重い腰を上げることになったというのが実情だろう。
きっかけは昨年起きたチャイナショックである。最初は「どうやら中国経済はこれまでの2ケタ成長が持続できない低成長の時代に突入したらしい」くらいのニュースとして受け止められていた。日本は「中国も経済減速か。輸出の売上が大幅に減りそうだな」と思っていたところだったが、実情を調べると、それ以上にかなり深刻な状況にあることがわかってきた。