500社にミドリムシを売り込んだって本当ですか?

川村 ちなみに2つ目のブレイクスルーは?

出雲 ミドリムシは5億歳だと言いましたが、当時の地球には酸素がなかった。代わりに二酸化炭素は今の250倍もありました。ミドリムシはそんな環境の中でも生き延びてきた。でも今の植物は、5億年前の記憶が遺伝子の中にないから、そんな濃度の二酸化炭素の環境下ではすぐに枯れてしまう。

川村 わかった! 大量の二酸化炭素を投下すれば、ミドリムシの天敵となるバクテリアは駆逐できるということですね。

出雲 その通りです。動物なんて一瞬で気絶して、人間なんて10秒も生きられず窒息死してしまうような世界です。

川村 その2つのブレイクスルーを経て、最初の大量培養はどういう環境で成功したんですか?

出雲 石垣島にレンタルした、巨大なプールで大量培養に成功することができました。2005年のことですね。ただ、せっかく世界で初めて成功したというのに、その後に伊藤忠商事が最初に出資を決めてくれるまで、支援企業を見つけるのに2年間もかかりました。約500社に売り込んで、見事に全部断られたんです。

川村 どうしてですか?

出雲 採用実績がないからです。「他の会社がやるなら、うちもやるから」って。最初の一社目が大変なんです。その間の月収はたった10万円でした(苦笑)。

川村 実績のないものに手を出すのがみんな怖いんですよね。それこそ文系と理系の壁というか、きっと出資を決める人が文系だから、「ミドリムシが地球を救う」と言われても、ピンと来なかったんでしょうね。