会見で明らかになった
燃費不正以外の驚くべき事実

 開発担当副社長の中尾龍吾氏は「何回も繰り返す試験のなかでデータの中央値を取るべきところを下限に近い数値を使っていた」としながらも、計測値の範囲内ではあったと主張したが、燃費が平均7%違ってくるということを考えると、測定したデータの範囲内だったということ自体、とても鵜呑みにすることはできない。

 三菱自は1997年、反社会勢力である総会屋の鄭照謨氏に対して利益供与を行った、いわゆる「海の家事件」を発端に、セクハラ、2度の欠陥隠蔽、欠陥改修の不徹底など、20年近くにわたってまさに不正だらけの体質を自ら正せないまま来てしまった。その報いを今後、行政罰や顧客への損害保障などにとどまらず、限りなく残酷な形で受けることになるのは避けられないだろう。

 しかし、この問題は三菱自だけにとどまらない。会見では不正以外にも驚くべきことが明らかになった。

 それは、クルマの許認可に関する権限を持つ国土交通省の審査があまりにもずさんだったということだ。前述のように、クルマの走行抵抗は燃費を大きく左右する、極めて重要な要素だ。その数値を国交省は、なんと自ら審査することなく、自動車メーカーからの自己申告に任せていたというのである。

「明らかになった」という言い方は、実は正しくない。

 これまでも、燃費・排出ガス審査のためのフォーマットであるJC08モードのやり方について細かく取材していれば、走行抵抗が自己申告であることを知ることはできたであろう。だが、筆者はじめ多くの記者は、クルマのハードウェアを持ち込んだら、後の燃費審査は走行抵抗の計測を含め、すべて国交省が厳格に管理しているものだと思い込んでいた。

 まさか燃費を左右する重要なファクターをメーカー任せにしているとは思いもよらなかったのだ。

 国交省はこの問題を受け、三菱自だけでなく他社に対しても同様の不正がないか、5月18日までに調査を行うよう指示したという。また、立ち入り検査も行っている。

 今回の三菱自の問題は、軽自動車のビジネスを行う子会社、MNKV社に折半出資している日産自動車が次世代モデルを開発するにあたって、不正のあった「デイズ(日産)」「ekワゴン(三菱自)」などのテストを行い、結果がおかしいことに気づいたため発覚したものだ。分厚い機密の奥にある開発現場での不正は、もともと表沙汰になりにくい。