NMKVの役割分担は、日産が部品調達、企画・デザインを担当し、三菱自が製造、開発を担当するものとした。当時はカルロス・ゴーン・日産社長と益子修・三菱自社長(現会長)の両トップによる合意で、両社が出資を折半した。

 NMKV設立によって自社と日産に供給する軽自動車の開発に着手した三菱自は、開発、実験などを三菱自の岡崎製作所技術センター、製造を同水島製作所で行ない、2013年6月に日産「デイズ」、三菱「eKワゴン」を、翌2014年2月に日産「デイズルークス」、三菱「eKスペース」を発売した。

 当時は国内自動車市場において、地方を中心に軽自動車販売が伸びていた。スズキとダイハツの二強を追ってホンダが軽自動車事業を本格化させ、トヨタも系列販売網で軽自動車を扱うなどの動きを見せていた時期であった。その中で、三菱自と日産両社の軽自動車販売シェアは、NMKV設立時点で合計15%だったが、これを20%程度にまで高めることが目標とされた。

 当時の発表資料によると、「NMKVは初の共同開発軽自動車でトップクラスの燃費を目指し、車台とエンジンを新開発。JC08モード29.2km/Lでライバルのムーブ(ダイハツ)、ワゴンR(スズキ)に負けない数字を実現した」とする。当時の益子三菱自社長は、発表会見で「今後の軽自動車開発はNMKVに一本化していく。三菱がNMKVから離れて単独でやる必要性はないと考えている」と語っている。

 2013年11月には、三菱自と日産は軽自動車以外にもルノーを含めた協力体制を拡大することを検討すると発表。その中には、電気自動車仕様を含むエントリーカーの開発を検討し、軽自動車の車台をベースにする内容も盛り込まれた。

蜜月関係にあったはずの
NMKVに波紋が生じた経緯

 こうして両社の軽自動車事業の協業は、ウイン・ウインで蜜月関係にあるかに見えた。しかし、2014年6月の日産株主総会で、ゴーン社長が「軽自動車が日本で売れている。日産の工場で一部の軽自動車については生産したいと思っている。そうでないと、国内年産100万台をキープできない」と株主の質問に答えたことにより、「日産が軽自動車を自社生産するのではないか」との見方が強まって、波紋を投げかけた。