ある日突然創った―「7つの宣誓」

藤沢】山田さんは社員の方々にどんなメッセージを送っているのですか? ずっと変わらず語っていることと、また変わっていったこともあるのでしょうか?

山田】当社の経営理念に「7つの宣誓」というものがあるのですが、あれは、揺るぎない経営の哲学として、ある日突然、僕がつくったものなんです。

藤沢】ある日突然?

山田】そう。ある日突然。僕がCEOになる99年より前、96年か97年だったと思います。自分が大事だと思う企業の枠組みを言葉にしてみようと突然ひらめいて、30分くらいで書き上げました。

藤沢】神の啓示としか思えません(笑)。

山田】大げさに言えばある日「降りてきた」んだけれど、日頃からふつふつと思っていたことが、パッと形になったということだと思いますね。

[7つの宣誓]
・私たちは、社会を支え、明日の世界を創るために仕事をしています。
・その為に、いつも謙虚に学び、自らを磨く努力をし続ける決意を持っています。
・励ましあい、協力し合える、社内外の仲間との信頼の絆をなにより大切にしています。
・高い理想を掲げ、熱く語り、エネルギッシュに行動する文化を私たちは誇りに思います。
・明るく、楽しく、和協努力。驚喜(オドロキ)の輪を世界中に拡げていきます。
・まず人がいて、輝いてこそ企業が生きる。主役は人、一人ひとりが自らの意志と力で自立し、組織を動かしていきます。
・私たちの存在を支えてくれる、すべてのもの(自然、社会、人々)への感謝と奉仕を固く誓います。

藤沢】働く上での根っこみたいな感じですね。

山田】うちはどちらかというと、特別な技術よりも、人の活躍を強みにしてきた会社やと僕は思っています。だから、7つの宣誓の内容も「人間」に注目したものになっている。

ここには僕が考えていることが集約されていて、20年近く経った今も、付け加えたり変更したりする必要は感じていません。これが会社の基軸であると同時に、僕の基軸でもあって、揺らいでないものと言えますね。

藤沢】先代、先々代のお考えが山田さんの中に入り込んでいたのですか? それともご自分の中で芽生えたものなのでしょうか。

山田】先祖から受け継いで芽生えたものでもあるのでしょうね。

藤沢】私自身、ふだんの山田さんの言動を拝見している限りでも「すべてこれを基準にされているのだな」と感じます。

山田】そんな変わったことを言っているわけじゃないんだけどね。かといって、よその会社の似たような経営理念を見ても、僕的には「なんか違う」と感じるから不思議です。「人を大事にする」とかって、大概の会社の経営理念には書いてあるんだけど、やっぱりこの「7つの宣誓」の表現がいちばんしっくりくる。