中国の日本大使館や領事館には
「支援したい」という問い合わせが殺到

 話を元に戻そう。お金は静岡に住む女性の中国の口座に振り込まれているが、女性は「日本で私がとりまとめて、責任を持って熊本まで持っていきたい」と話す。どこかの団体を経由するのでは時間がかかるし、確かに被災地に届いたという確証が持ちにくい。熊本に住む中国人の友人と連絡を取り合って、現地の人々に役立てるにはどうしたらよいのかを考えているところだという。

「たとえば、小学校などに寄付するのもいいですね」(女性)。写真なども撮ってSNSで現地レポートすれば、中国に住む友人たちも安心するし、喜ぶのではという。

 熊本には日本国内だけでなく、世界各国からのボランティアも応援に駆けつけているが、在日中国人や華僑の団体、中国人留学生なども同様だ。

「中国に住む友人たちも皆、その動きを見守っています。日本に住んだことがある人や留学経験者だけでなく、一度も日本に行ったことがない故郷の友だちも大勢支援しているんですよ」と女性は繰り返す。

 私自身も今回、そうした中国人の行動や思いをSNS上でたくさん見つけた。仕事で頻繁に上海と東京を往復している20代の女性は、先週末、在上海日本領事館を訪れたところ、熊本を応援する色紙を何枚も見つけたといい、それを発信していた。

「加油(がんばれ)、熊本」と書かれた色紙の数々だ(1ページ目の写真)。また、上海で新聞記者をしている男性は、友人が同領事館に4000元(約7万円)寄付したことを知らせるメッセージに、「ありがとう! 領事館に代わって、お礼を申し上げます」と書き添えて、くまモンとハートマークの写真を微信に投稿していた。

 中国の日本大使館や領事館には「支援したい」という問い合わせが殺到していることから、地震発生後に義援金を受けつける口座を開設した。上海で日本と関係のある企業を経営している女性も、「義援金を送りたいという問い合わせは私たちの会社にも多く寄せられていますが、責任重大なことなので、すべて領事館に送ってほしい、と伝えています」と話していた。

 少しでも熊本を応援したい――。

 こうした素直な思いは予想以上に中国各地に広がっているようだ。南京事件の遺品などを展示している南京大虐殺記念館では、今回の地震について「熊本県日中友好協会の関係者が20年以上、毎年欠かさず同記念館を訪れ、犠牲者を追悼してくれている。熊本の皆さんのことを心配している」というコメントをわざわざ発表した。この異例ともいえるコメントをネットなどで読んだという人は多いだろう。