関係性が希薄になりがちな都会
『渋谷のラジオ』は寄合所の役割を果たす

 もちろん災害時の区民の情報源としても大きな役割を果たしていく。「5年前の震災で、地域がひとつになる時に果たしたラジオの役割を、渋谷に移植するというのが大きなテーマのひとつ。渋谷駅前は5年前、多くの帰宅難民者で溢れかえったことを忘れてはいけない」と、箭内さんの出身地である福島県、そして宮城県での復興支援活動の中で、箭内さんが感じたラジオの必要性を声を大にして訴える。

「個」と「公」の動きがひとつになって、『渋谷のラジオ』は大きく変わりゆく渋谷の街を、人のエネルギーで溢れる場所にし、文化の創出と共に、地域密着の防災メディアとして、災害時に各所と連携して細かい情報発信をしていくという、大きな役割を担う。

 渋谷に限らず都会では人と人のつながり、関係性が希薄になっている。隣に住んでいる人の顔を見たことがないという人も多い。そんな中で、「人の顔が見えて、人が交差している大きな町内会みたいなものが欲しいと思っている時に、最適なツールが結果的にラジオだった」(箭内さん)。渋谷に大きな町内会を作り、その寄合所が「『渋谷のラジオ』というわけだ。

「今、渋谷パルコの大規模建て替えのキャンペーンに関わらせていただいています。工事の間の3年間はあの場所は“無”になる感じがすると思いますが、その間も“魂”だけはどこかで燃やし続けていたいと思っていて、その“魂”を預かっている場所が『渋谷のラジオ』でありたいと思っています。どんどん変わっていく渋谷ですが、変わっている間はゼロになるのではなく、その間も渋谷も生きていて、その渋谷の“魂”を預かっている場所に町内会の人が集まって、あーでもないこうでもないと話をしながらそこから何かが生まれていくのだと思います」(箭内さん)

 人が集まるところは知恵と力で溢れ、文化、ビジネス、絆、様々なものが生まれて発信されていく。

■「渋谷のラジオ」
2016年4月1日本放送開始。渋谷に縁ある豪華アーティストや俳優、文化人と渋谷区住民がパーソナリティとしてラインナップ。周波数:87.6MHz、出力:20W。所在地〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-22-11