ドラマの舞台に選ばれれば、知名度は急上昇、全国から観光客が集まる。NHKの大河ドラマは“文化の公共事業”と称されるほど経済効果が見込め、自治体の誘致活動も激しさを増す。
3月上旬の平日、まだ肌寒い早春の長野・上田城跡公園は、時ならぬにぎわいを見せていた。観光バスが次々と到着し、団体客が列を成して歩いていく。お目当ては、今年1月17日にオープンした「真田丸大河ドラマ館」だ。3月10日には入場者が6万6666人(真田家の家紋の六文銭にちなむ)を突破した。
「これまで、冬に上田城跡公園にこんなに人が来ることはなかった」と、上田市シティプロモーション推進室の青木卓郎室長補佐。市では観光客の増加に備えて公園周辺の駐車場を大幅に拡充した。
市内の商店街には「真田丸」ののぼりがはためき、「真田十勇士」などを描いた灯籠が設置され、自動販売機まで真田丸デザインに。観光客の目を楽しませている。また、上田市と別所温泉を結ぶ上田電鉄別所線では、真田丸のラッピング電車が走る。さらに、空港のある松本市と上田市をバスの直行便で結ぶことで、北海道や九州からも観光客を呼び込むことに成功している。
こうした取り組みのかいあって、「お土産品の売り上げがアップし、市内の旅館も昨年より客数が増えている」と、上田市観光課の片山克彰課長補佐は顔をほころばせる。