コマツでは建設機械・鉱山機械の需要は今16年度(17年3月期)から18年度(19年3月期)まで停滞が続き、本格的な回復は19年度からと見ている。戦略市場である新興国市場の成長力の下方屈折が、優良企業コマツに今後どのような成長戦略を描くのかという課題を突き付けている。

自動車向けの用途拡大に活路求める

 世界的に競争力を有する電子部品業界にも円高の逆風が吹く。加えて最終製品の変化にどう対応するかが課題となる。

 電子部品メーカー最大手の一角、TDKの前16年3月期営業利益は、28.8%増の934億円となった。営業増益額209億円のうち、円安による押し上げ効果は173億円を占める。今17年3月期の為替は、ドル円が10円円高の110円、ユーロ円は8円円高の125円が前提となっている。売上は微減ながら、営業利益は20.8%減の740億円と減益を予想している。

 主要3事業の売上は「受動部品、フィルム応用製品が伸びて円高のマイナスをカバーするが、問題は磁気応用製品でヘッドが利益に貢献しない」(上釜健宏社長)。PC市場の成熟化→縮小で、PCに搭載されるHDD(ハードディスクドライブ)向けヘッドは市場の縮小が続く。PC需要の縮小を補って余りあったスマホも、アップルの生産調整や中国市場の成熟化に見られるように、需要の伸びが鈍化すれば、電子部品全般も期待されるほどには数量が伸びず、価格の低下圧力が大きくなるかもしれない。

 TDKに限らず大手電子部品各社は、いまや電子機器と変貌しつつある自動車向け市場の開拓に力を注いでいる。これは自動車が転べば需要増加をけん引する最終製品が見当たらないことを意味する。

 各業種の代表選手3社の今17年3月期業績予想を見ると、円高、新興国経済の低迷、成長製品不在という不安要因を抱えていることが分かる。アベノミクスは大胆な金融緩和で円安を実現し、海外売上比率の高い大企業の収益を増やし、賃金・設備投資の拡大に波及させるという構図を描いたが、設備投資・賃金に恩恵が及ぶ前に企業業績は息切れしてきた。次の一手は消費増税の先送りか、さらなる金融緩和か。潮目が変わったいま、アベノミクも正念場を迎えている。