これに対し、三菱商事は4630ドル、住友商事は4589ドル、丸紅は5300ドル。非鉄大手7社の平均は約4900ドルだ。5500ドルという物産の見通しは業界最高値であり「かなり強気」(ある大手商社役員)な数字であることが分かる。しかし足元では4500ドル前後で推移しており、「平均5500ドルの到達は現実的ではない」(エモリキャピタルマネジメントの江守哲代表取締役)という見方が大勢だ。

 仮に銅価格が前提を1000ドル下回れば、単純計算で100億円の純利益が吹き飛んでしまう。物産は本当に金属資源で450億円を稼げるのか。

資産売却で利益確保

 市場の疑念に対し、物産の安永竜夫社長が強調するのが「資産のリサイクル」、つまり保有資産の売却だ。

 物産は16年度、資産売却で500億円の利益確保を計画しており、売却対象には金属資源の資産も含まれているもようだ。市況が思惑通りに反転しなかったとしても、資産を切り売りして何とか穴を埋めようという、まるで“自転車操業”のような苦しい台所事情が透けて見える。

 ライバル商社の16年度純利益を見渡せば、伊藤忠商事が3500億円、三菱商事が2500億円、住友商事と丸紅が各1300億円だ。物産とすれば、業界内の地盤沈下を避けるためにも2000億円の純利益目標は何としても達成したい。しかし、近年注力してきた非資源ビジネスも、資源に代わる収益の柱とするにはいまだ心もとない。結局、資源で“強気”にならざるを得ない物産の苦悩は続きそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)