正社員同士の「労労問題」も、様々な形で起きている。
先週8月23日に発売された『週刊ダイヤモンド』の特集「解雇解禁」を、ご覧になっただろうか。筆者も5ページにわたって記事を掲載させていただいたが、特集への反響は大変大きかったようである。
特集そのものは、労使問題とは別に社員間で起きる「労労問題」が今の日本の職場では大きくなりつつあること、そして正社員の解雇規制や改正派遣労働法を主なテーマとして扱いながら、現場で働く人たちの不公平を是正することが、社会全体で見たときに日本の活性化に必要ではないのだろうか、という問いかけであった。
この労労問題、週刊誌の特集では、正社員と非正社員との関係性の構図を中心に描かれていた。しかし、組織成果という視点から見ると、相変わらず見過ごすことができない正社員同士の「労労問題」も、色々な現場で起きているようだ。これは、拙著や本コラムでも書き続けていることだ。
今回は、その1つのケースを新たに紹介したい。
レベルが高い仕事を目指す人は邪魔?
頑張る人が白い目で見られる職場
ある会社の人と食事をしたときの話だ。同席したのは、神田さん(仮名・30代前半)と、神田さんの元上司である平野さん(仮名・40代後半)の2人である。
神田さんは、「私、周りから浮いちゃって、白い目で見られるんですよね~」と語る。神田さんは、私の知る限り、いつも新しい提案を考えて、仕事を面白くしようとする前向きな仕事スタイルの人だ。俗に言う、「ハイパフォーマー」の部類に入る人である。
その神田さんから、突然そんな言葉を聞いたので、私は思わず「エッ? どういうこと?」と聞き返してしまった。
その問いに、隣に座っていた元上司の平野さんが答えてくれた。
「こいつ、工夫して『こうしたらどうですか』と、より高いレベルの仕事にしようと頑張るでしょ。それが、今のうちの会社だと浮いちゃんですよね」