企業収益が改善するなか、失業率が上昇を続けており、雇用環境は悪化の一途を辿っています。

 秋の通常国会では、再び労働者派遣法の改正案についての審議が予定されていますが、「派遣原則禁止」のアナウンス効果で、正規雇用に切り替える企業もある一方、すでに多くの「雇い止め」が行なわれています。失職者は40万人にものぼる可能性があります。

 今年春の卒業者のうち、就職も進学もしていない進路未定者は、10万6000人に達します。10万人突破は、5年ぶりのことです。

 正社員はサービス残業を強いられ、中小企業では不当解雇が横行しています。同じ仕事をしても、正社員と非正規社員では、給料はもちろん、雇用保障に大きな格差があります。

 こうしたさまざまな矛盾や不平等は、どこから生まれるのでしょうか。その解決策を考えたとき、私たちは、解雇規制の緩和、つまり「解雇解禁」を提案します。

 経営上の理由による整理解雇は過去の判例上、認められにくく、企業は新卒採用や非正規社員の正社員化などにおいて、過度なリスク警戒を強いられます。

 高度成長期には、企業が社会福祉を担ってきました。国=自民党政権は、補助金や保護規制によって、間接給付の担い手である企業を生かし続けました。

 しかし、現在、企業はグローバル競争にさらされ、構造的な劣位にあります。そして民主党政権は、子ども手当など、直接給付型の社会福祉を志向しています。

 ならば、補助金で「ゾンビ企業」を生かし続けることをせず、規制緩和によって、再編・淘汰を促し、事業構造改革のための整理解雇を容認することで、社会全体の生産性の向上を図らなければ、政策モデルの整合性はとれません。

 何よりもまず始めるべきことは、正社員と非正規社員の雇用保障を平等にすることです。そして、企業内職業訓練をバウチャー制で行う仕組みの構築です。そして金銭保障など、解雇の際の手続きのルール化です。

 一度大企業の正社員のレールに乗った既得権者にも、事実上の解雇自由を維持したい中小企業の経営者にとっても、「解雇解禁」は受け入れ難いでしょう。

 しかし、このままで最もワリを食うのは、われわれの息子、娘の世代なのです。

(「週刊ダイヤモンド」副編集長 遠藤典子)