三菱自動車、スズキによる相次ぐ燃費不正問題。両社や国土交通省は、早くも事態の幕引きに入っているかのように見える。だが、不公平な燃費競争は、結果的に日本の国際競争力を削ぐことにもなりかねない。自動車の排ガス・燃費試験は「公平性」がしっかりと確保されるように見直されるべきだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)

 周到にシナリオが準備された会見だった。5月31日、スズキは、燃費審査に必要な「走行抵抗の申請値」を不正な測定法で求めていた問題について、報告書をまとめた。

 表面的には、この報告書はスズキ自身がまとめて国土交通省へ提出したことになっている。だが、実際には、スズキと国交省は綿密な相談を重ねて、国交省による助言も加わった“共同作業”によって作成された模範解答ともいえるものだ。「何としても鈴木(修・スズキ)会長の責任問題に発展することは回避したい」(国交省関係者)との判断が働いたようだ。

 大勢の報道陣の前で、高齢の鈴木会長が、「法治国家では許されないこと。不正の積み重ねが不正を生んでしまった」と頭を下げた。これで、三菱自動車に端を発した燃費不正問題は、幕引きとなりそうな雲行きである。

 しかし、である。両社共に法を逸脱した方法で燃費値を導いたことに変わりはない。

 ある自動車メーカーのエンジニアは、「どのメーカーもみんなスネに傷を持っている。内心では、三菱・スズキ固有の問題で片付けたいと考えるメーカー幹部は多い」と言う。不正発覚の連鎖に、自動車業界が揺れている。

 あらためて注目を浴びるようになった「燃費」。下の二つの表は、実燃費が、カタログ燃費(JC08モード)に、どの程度到達しているのかを示す「燃費達成率」を車種別、メーカー別にランキングしたものだ。