関東にまた渇水の夏が迫っています。利根川水系8つのダムの貯水率は平均58%(6月3日現在)。例年の3分の2程度に過ぎません。おまけに気象庁の1ヵ月予報では、関東甲信地方の降水量は「平年並みか少ない」予想。

 予報通りなら、久しぶりにこの夏は「節水」がテーマになるでしょう。

 地球温暖化に伴って、今、二つの指標が注目されています。一つが「CO2(二酸化炭素)排出量」、もう一つが「投入水量」です。

 前者は言わずと知れた、温暖化ガス(*1)であるCO2の排出量そのもの。国全体での削減目標もありますが、特定の商品やサービスを利用したときに、どれだけのCO2が排出されるのかを示す指標でもあります。例えば1人が500km(東京~大阪)移動する際に発生するCO2は、鉄道が10kg、バスが27kgに対して乗用車はなんと87kg。大量交通機関の圧勝といえるでしょう。そして意外とCO2排出量が多いのが航空機です。CO2排出量は56kgで鉄道の5倍以上掛かります。

牛丼一杯に水1890リットル!

 そのモノを生産・流通するのにどれだけ「水」が必要だったか、という投入水量も、元々まで辿ると意外な結果が出ます。

 穀物では白米が1kg当たり3600リットルで、小麦の2000リットル、トウモロコシの1900リットルを圧倒しています。しかし、問題は肉類、とりわけ牛肉がヤバイ存在なのです。

 1kg当たりで比べると、投入水量は鶏肉の4500リットル、豚肉の5900リットルに対し、牛肉はなんと2万700リットル。トウモロコシなどを飼料とし、育成に時間が掛かるせいなのですが、牛肉は、まさに「水の缶詰」といえるでしょう。

 ゆえに、総投入水量で見ると、牛肉を使うメニューの独壇場となります。牛丼1杯に1890リットル、ハンバーガー1個に1000リットルといった具合。因みに月見蕎麦が750リットル、讃岐うどんが120リットルです。

水消費量の可視化へ。節水はまずお風呂から

 「水」は、今後数十年で逼迫する資源の最たるものと考えられています。

*1 温暖化ガスとしては他に、家畜のゲップに含まれるメタンガスなどもある。