冬場になると運動量が減るせいか体重が増えている。クリスマスやお正月の影響も考えられるけれど、月別の特徴は何かあるのか?という疑問がありました。これを理解するために、各年の月別の体重の増減を比較してみることにします。マッキンゼーの人材育成責任者として実践し、BBT大学の講座で人気の著者が、普通のビジネスパーソン向けに書いた『はじめての問題解決力トレーニング』から、エッセンスをご紹介します。

 月ごとの増減を、年別に並べて、一番下に平均の増減を示したものが図表9です。このように全体を押さえた後に細かい数字を見ていくのは、みなさんにもぜひおすすめしたい方法です。得られた数字が細分化されたものであればあるほど、初めは気がつかなかった面白い事実が発見できるからです。

 まず、下の平均増減からは、1月と12月は増加が大きく、8月は減少が大きいことがわかります。次に月別を見ると、8月は増加している年も減少している年もあるものの、2012年のダイエットで大きく減ったことが平均値に影響していることがわかります。やはり、顕著な傾向が見られるのは、8月よりも1月と12月のほうといえます。

 毎年の増減を細かく見ていくと、2012年の後半はダイエット効果で大きく減少している月が続きますが、それ以外は小さな増減を繰り返すか、増加する傾向にあることがわかります。1月と12月のプラスは大きいので、寒くて運動量が減る一方で、会食の機会も多い年末の暴飲暴食が体重の大幅増加のきっかけになっていると推測されます。

 どうやら顕太さんは、消費カロリー以上に食事を楽しむ傾向があるようです。ただし、年齢を考慮すると運動量を大幅に増やすのは難しそうなので、摂取カロリーを減らす努力が必要になります。

 特にクリスマスとお正月の時期の、外食による摂取を極力減らさなければなりません。もしもどうしても食べて飲みたいのであれば、ウォーキングなどの有酸素運動を日課に取り入れるなどして、必要以上に摂取したカロリーを消費する以外に手はないということになります。

 それにしても、2012年の夏にどうやって短期間で10%以上の減量を成功させたのか、興味が湧いてきます。

 はやりのダイエットジムから話題の健康食品までいろいろなダイエット方法がありますが、2012年までの体重の増加傾向と、減量成功後のリバウンドが継続して起こっていることを考えると、顕太さんのダイエットは根本的な対策ではなかった可能性があります。そこで顕太さんにインタビューしてみることにしました。

 それでわかったのは、まずダイエットに踏み切った理由は、体重が増加して人間ドックでさまざまな数値の悪化を指摘されたことだったようです。やはり、減量の必要性を強く感じたことがきっかけになったようです。

 次に、ダイエット方法について聞きました。仕事が忙しくてダイエットジムなどに通うことが難しい顕太さんは、自分で食事制限と運動量を増やす計画を立てたそうです。これは少し意外でした。普通、本人の意志だけで生活をコントロールしてダイエットを成功させるのは、きわめて難しいからです。

 なぜそれができたのか。くわしく聞いたところ、顕太さんの友人にも同じような軽度の肥満症の人がいて、“半年で10%の減量を成功させる。できなかった場合は相手に10万円を支払う”という約束をしたことがわかりました。

 ダイエットに取り組む最初の動機はよかったのですが、お金をかけるという“愚かな計画”のせいで、根本的な体質と生活習慣の改善にはつながらなかったというわけです。