前回は、採用のミスマッチを減らし、学生が自分に合った企業選択をするために、大学と企業の間にある断絶を埋め、連続性を持たせる試みが必要だ、と書きました。採用活動が本格化する秋。今回も引き続き、採用について考えてみます。

「ソニーとかがいいです」

 夏休みが終わると、大学3年生はいよいよ就活に突入します。ほとんど世の中に関心を持たなかった学生も、にわかにさまざまな業界や企業について情報を集め始めることになります。

 この春、ある理工系の国立大学で、大学院生を対象にした「模擬面接」に協力しました。およそ20人の大学院生と面談したのですが、「どんな会社を志望しますか?」という質問に対して、多くの学生が「ソニーとかがいいです」と答えるのです。志望先としてソニーを挙げたのは、8割以上。これには驚きました。

 なかには、「専門性を生かしてゲーム会社でプログラマーになりたい」とか、理系ながら「出版に興味がある」などと、自分の意見を持っている学生もいましたが、それはごく少数でした。

「ソニーとか」という学生たちは、よく聞いてみると、ほぼソニーとパナソニック(旧松下電器産業)しか知らないのです。「とか」というのはソニーと松下を指すのです。

 理工系学生だから企業のことをよく知らない、ということだけでもないようです。

 先週ご紹介した就職人気企業ランキングを、もう一度見てみましょう。

大学生が選んだ人気企業ベスト20(2009年度)

 この理工系国立大学の教員によれば、入学における難易度の極めて高いこの大学で、連休明け時点での4年生の内定率は6割程度だったといいます。

 なぜかというと、「ソニーとか」しか知らないからです。