「技術力の高い中小企業はたくさんあるし、視野を広げれば就職が決まらないということはあり得ない」と教員は言います。

 新卒求人倍率は下がったとはいえ1.28倍。これを「就職氷河期」と言うなら、本当の氷河期世代に首を絞められます。欲を言わなければ就職はできるのです。しかし、現実には10万人があぶれている。

 きわめて大きなミスマッチが、そこにはあります。

「今夜の店」を選ぶのに似た就職先選び

「ソニーとか」などと言っていた学生たちも、秋から冬にかけて急激に知識量を増やします。これにはインターネット上の就職サイトが大いに貢献しているようです。

 ひところ「ネット就職」という言葉が使われていましたが、いまはそれが当たり前になったために死語と化しました。

 私たちの世代は、就職期になると、前触れもなく電話帳のようなリクルートブックが箱に入って5、6冊送りつけられてきました。「世の中にはたくさんの会社があるのだなあ」と感心した記憶は多くの人が持っているはずです。

 いまはリクルートブックが、そっくりネットの情報になりました。業界ごと、企業規模ごとなど検索も自由自在で、便利なことこの上ありません。人事部からのメッセージや、若手社員へのインタビューによる働き方情報など、コンテンツは盛りだくさんです。

 企業の側から言っても、就職サイトはとても便利です。不特定多数への企業情報の発信が容易ですし、効率的に志願者を集めることができるからです。

 就職サイトに登録すると、学生はさまざまな企業の情報を見比べ、選択します。会社説明会への参加も、その企業のチェックボックスにチェックを入れて返信するだけ。プロフィールを書いたエントリーシートは、一斉送信で多くの企業に送ることができます。